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長野久義、小園海斗という新風。
カープにマンネリという文字はない。 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byKyodo News

posted2019/03/09 11:30

長野久義、小園海斗という新風。カープにマンネリという文字はない。<Number Web> photograph by Kyodo News

長野、小園の新戦力が話題をさらった広島キャンプ。チーム力の底上げでセリーグ4連覇と悲願の日本一を目指す。

ベテラン長野の目配り、気配り。

 長野の加入は、広島の球団史を見ても、異例だろう。まだ現役バリバリの巨人のスター選手が加わったことなど過去にない。当初は本人にも、周囲にも戸惑いが感じられた。

 特に目配り、気配りのできる長野は、余計に気を使っているようにも見えた。ただ、新加入の選手が既存の組織に馴染んでいく過程で生じる必然のギャップや相違、そこからの発想や意見が、新鮮であり、刺激ともなる。純血主義の球団に他球団の主力や実力者が加わることによって化学反応を起こすことがある。

 過去には横浜から加入し、コーチまで務めた石井琢朗氏(現ヤクルト打撃コーチ)を筆頭に、巨人から豊田清氏や中日から久本祐一。さらには指導者としても、新井宏昌氏や河田雄祐氏らがいた。

 純血色が強い広島だけに、他球団から吹き込んだ異なる風はいつも、チームに新たな発見と変化のきっかけを与えてくれるのかもしれない。

 当然、戦力としても申し分ない。まだ34歳。入団から9年連続でシーズン100安打を記録する選手は広島にもいない。広島では左翼が有力視されるが、巨人時代には中堅、右翼を守ってきた。昨秋から内野を本職とする西川龍馬、捕手を本職とする坂倉将吾の外野挑戦もあって、中堅と左翼のポジション争いは混沌としてきた。

丸が抜けた穴は総合力で埋める。

 長野獲得が発表される前、東出輝裕打撃コーチは丸と新井貴浩氏が抜けた穴の影響をこう話していた。

「西川と松山(竜平)を同時にスタメンで出すと代打1番手がいなくなる」。一発長打のあるバティスタは穴もあるだけに、勝負どころの切り札では心もとない。ならば、代打のために1枚残す考えも頭に入れていた。ただ、新加入の長野は仮にベンチスタートとなっても、代打の切り札として期待できる。すでに首脳陣は相手の先発投手のタイプによっては、長野を代打に回すプランも視野に入れている。

 緒方孝市監督は、丸が抜けた新打線を開幕までに固めようとは思っていない。ある程度の骨格を定めながらも、シーズンに入っても模索していくつもりだ。

「(丸や新井が抜けた)穴がすぐに埋まるとは思っていない。難しいと考えるか、楽しいと考えるか。(打順を)シーズンまでに決めるのではなく、シーズンを通した中で形が決まれば。いろんなバリエーションの打順を試しながらいろんな形でやっていこうと思います」

【次ページ】 「+1」だけではない長野効果。

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