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コンサドーレは「マンCに近い」。
饒舌なミシャ、61歳にしての変化。

posted2019/03/04 17:30

 
コンサドーレは「マンCに近い」。饒舌なミシャ、61歳にしての変化。<Number Web> photograph by Takashi UEGISHI

浦和の主将で愛弟子でもある柏木陽介と笑顔で再会。ミシャはとにかく愛される監督だ。

text by

塚越始

塚越始Hajime Tsukakoshi

PROFILE

photograph by

Takashi UEGISHI

 北海道コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督(愛称、ミシャ)が、幼少の頃過ごしたセルビアの街ロズニツァは旧ユーゴスラビアの首都ベオグラード近郊にあり、札幌と緯度がほとんど変わらない(ロズニツァは北緯44度、札幌43度)。また現在オーストリアの自宅がある街も「すごく寒いところだ」と言う。

 サンフレッチェ広島で指揮を執り始めたのが2006年、浦和レッズでの5年半を経て、昨季、札幌の指揮官に就任。今年で14シーズン目を迎える。

 膝や腰に不安を抱えるため、北海道での生活は大丈夫かと心配する声もあった。しかしミシャは「セルビアの街もよく雪が降っていた。しばらくそうした街に住んでいなかっただけで、やはり慣れている。確かこんな感じだったなぁ、と思い出した。気候には早く慣れることができたよ」と、札幌の住環境にはすぐ順応できたそうだ。

 そして札幌での2シーズン目、開幕の湘南ベルマーレ戦こそ0-2で敗れたものの、スタメン2人を入れ替えて臨んだ浦和レッズ戦は会心の勝利を収めた。

 スコアは2-0で、後半はスコアレスだった。しかし浦和の槙野智章も「完敗」と認めるほど、札幌が主導権を握り続けた内容だった。

埼スタの浦和サポからどよめき。

 埼玉スタジアムを埋めた多くのサポーターは、ミシャ戦術を熟知している。

 最大で5年半、そのメカニズムを目の当たりにしてきたから。そのためか札幌のセンターフォワード鈴木武蔵へのピッチを切り裂くような鋭いクサビのパスが入ると、スタジアムの至るところから、それは危険だ……という、小さなどよめき、ざわめきが起きたりした。

 札幌の監督就任1年目となった昨シーズン、指揮官の思考に大きな変化として挙げられたのが、ロングボールも活用したことだ。最前線のジェイや都倉賢(現C大阪)に、危険な場面ではハイボールを当ててもいい。徹底的に地上戦にこだわり追求した浦和時代の「理想」に、「現実路線」も加えたのだ。

 そこで今季開幕前、ペトロヴィッチ監督に聞いた。

 2019年の札幌は「現実路線」を徹底するのか。「理想路線」を改めて追求するのか。

【次ページ】 理想と現実の両取りは矛盾か?

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