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今も球界を刺激し続ける、常識を覆した「データ戦術」。~マネーボールは現代野球を理解する必須の書~ 

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馬立勝

馬立勝Masaru Madate

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posted2016/07/26 09:00

今も球界を刺激し続ける、常識を覆した「データ戦術」。~マネーボールは現代野球を理解する必須の書~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『マネー・ボール〔完全版〕』マイケル・ルイス著 中山宥訳 ハヤカワ・ノンフィクション文庫 940円+税

 歴史と伝統の保守王国が大リーグ。資金のある所に才能が集まり、金満球団が優位に立つ格差社会でもある。この不公平な競争の舞台で、金欠球団のGMが反撃する。選手年俸がヤンキースの3分の1以下のアスレチックスがビリー・ビーンGMの辣腕運営で地区優勝した2002年シーズンを描く。ブラッド・ピット主演の映画も評判になった。抜群の面白さだ。

 ビーンは単純なヒーローではない。メッツのドラフト1巡目指名(全体23位)の外野手だが、感情の抑えがきかず、打てなかった。4球団を転々とし、最後の球団アスレチックスで自分に見切りをつけ、先乗りスカウトで拾ってもらう敗者だ。上司サンディ・アルダーソンGMは、運営費削減策をとる新オーナーのもと、改革に苦心していた。他チームが軽視する選手の中から有望選手を拾い出し安価で契約する。勘と経験頼りの戦術をデータによる戦術に切り替える。

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