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浦和オリヴェイラ監督に訊く・前編。
自信を取り戻させた方法論とは。

posted2019/02/21 17:25

 
浦和オリヴェイラ監督に訊く・前編。自信を取り戻させた方法論とは。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

単独インタビューに応じたオズワルド・オリヴェイラ監督。その眼力はモチベーターらしい情熱にあふれていた。

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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Yuki Suenaga

2018年、12年ぶりの天皇杯制覇を成し遂げた浦和レッズ。最終的にAFCチャンピオンズリーグ出場権を手にした一方で、 序盤戦は苦戦を強いられた。それを見事に立て直したのはシーズン途中で監督に就任したオズワルド・オリヴェイラだ。
J1開幕を前にしての単独インタビューでプレシーズンの強化、そして昨季のチーム再建のプロセスを明かした。

試合を組むより、練習した方がいい。

――沖縄キャンプでは前線のプレスの迫力、トランジションの速さが際立っていて、昨季以上のものを感じました。実際にリーグ制覇、アジア制覇を狙ううえで、昨年からどこを改善し、何をテーマにしていこうとお考えですか?

「まず私が重要だと思っているのは、攻守のバランスです。バランス良く戦えるように日々の練習でアプローチしています。そして、おっしゃられたように、守備から攻撃、攻撃から守備への切り替えもすごく重要ですから、それを意識させるようなトレーニングを今、たくさん行っているところです」

――キャンプでは練習試合を1試合しか行いませんでした。そのことについて、キャンプ最終日に「今は練習に時間を割きたい」「強度の高い練習試合によってケガするのを避けたい」とおっしゃいましたが、これまでも練習試合の数は少なかったのでしょうか。それとも今季、年間70試合を見据えたうえでの取り組みなのでしょうか?

「例年そうしています。監督というのは、シーズンが始まれば『試合数が多いから、練習する時間がない』と思うものです。プレシーズンには練習の時間がたっぷりある。それなのに、わざわざ試合を組んで練習の時間をなくすより、練習したほうがいい。

 それに、練習試合にはリスクもあります。昨季は私が(4月末に)就任した時点で夏に静岡での練習試合がアレンジされていました。1試合がジュビロ磐田戦、もう1試合が清水エスパルス戦です。清水との試合では、われわれの最も重要な選手のひとりである興梠慎三がファウルを受け、もう少しで残りのシーズンを棒に振るところでした。勝点3の懸かってない試合で選手が離脱する。こんなにバカげたことはありません。

 ただ、試合の強度を体感させるために練習試合を組む必要もあります。その場合は前半を50分にしていて、コンディショニングも兼ねています。1本目に出なかった選手が出場する2本目はだいたい60分。沖縄キャンプでの2本目はメンバーを入れ替えながら戦ったので、60分プレーした選手はひとりだけでした」

【次ページ】 試合への飢えをモチベーションに。

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