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宮沢りえ以来の貴乃花劇場が再び。
スポーツ紙の論調が割れる時は……。 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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photograph byTakeshi Honda/JMPA

posted2018/09/30 08:00

宮沢りえ以来の貴乃花劇場が再び。スポーツ紙の論調が割れる時は……。<Number Web> photograph by Takeshi Honda/JMPA

将来を担うと誰もが信じた貴乃花は、これで相撲界と決別することになるのだろうか。

サンスポは貴乃花の「自己都合」とバッサリ。

 次はデイリースポーツ。

・引退理由の発端となった告発状。事実無根と認めろと圧力を受けたとのことだが、告発状はすでに取り下げている。「内容は事実」との強弁は今さら感がある。

・一門に所属しなければ部屋を続けられないことを正式に通達されていないとのことだが、自ら協会に問い合わせることはなかった。声をかけてくれた一門もあったというが、頭を下げて願い出ることはなかった。先輩親方が心配し、電話をしたが折り返しもなかったという。審判部内でも孤立していた。

 ハッキリと貴乃花親方を批判したのはサンスポだ。貴乃花親方は会見で、この事実を知ったのは「(9月の)秋場所後半に直接役員の親方に聞いたのが初めて」としたが、

・だが、貴乃花親方と近しい関係にあった親方は「(7月の)理事会直後には耳に入っていたはず」と証言する。実際、一門内からの反発で頓挫したが、伊勢ケ浜一門への加入も模索されていた。

 後半は以前に貴乃花親方と行動した親方の話から、

・「改革の旗頭」といわれた貴乃花親方の口から一度も「改革」の中身を聞いたことがないと嘆く。協会へ反発ばかりしている姿勢を「一門の総意と取られるのは心外だった」。

 1人去り、2人去り……。自身を偽れなかったとする退職理由も、所詮は「自己都合」といわざるを得ない。

 サンスポは今回の行動は貴乃花の「自己都合」とバッサリ。

日刊は「孤立」にフォーカスした。

 東京中日スポーツは、

・自分の信念を貫くためにかわいいわが子を捨てたことに変わりはない。これはただのわがままだ。

・告発状にこだわっているが、そもそも、春場所中に貴公俊が暴力問題をおこした後の3月28日に取り下げている。

・自分の弟子が暴力問題を起こしてからすぐ取り下げた告発状に何の意味があるというのか。

・部屋の力士は貴乃花親方の指導を受けたくて入門している。春場所では新弟子も入門している。その子の人生はどうなるのか、あまりにも無責任すぎる。

 とこちらも厳しい。

 日刊スポーツは、「貴乃花親方は、孤立していた」と書く。

・誰も助言できない、誰の助言も聞かない「裸の王様」状態になっていた。

・自らを「一兵卒」と呼んだが、相撲協会執行部は、そうは見ていなかった。5つある一門のいずれかに所属しなければならないという決定事項は、協会から各一門に助成金が支給されている以上、無所属の親方がいるのは体裁が悪いというのが理由。だが、反乱分子ともいえる貴乃花親方を、おとなしくしているうちに封じ込めるための案と感じた親方衆は少なくない。

【次ページ】 意思疎通もままならない組織なら……。

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