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鳴尾浜と甲子園の、はしご観戦!
“平成最後の夏”を堪能する野球旅。 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph byYasutaka Nakamizo

posted2018/08/19 11:30

鳴尾浜と甲子園の、はしご観戦!“平成最後の夏”を堪能する野球旅。<Number Web> photograph by Yasutaka Nakamizo

タイガースファンだけでなく多くの野球ファンが憧れる地“タイガース・デン(虎の穴)”。二軍試合の観戦無料は、球団に感謝しかない!

甲子園との野球ハシゴ観戦。

 試合中盤に差し掛かると、ちらほら退席する人も出てきた。阪神が4回までに6対1とリードしているが、二軍戦は目の前の勝ち負けが大きな意味を持つ場でもない。常連さん同士の会話で、「ほな甲子園行くわ」という言葉も聞こえてきた。

 そうか、球場前から出ているバスに乗れば、高校野球とのハシゴ観戦も可能なのだ。

 腹も減ったし、球場グルメリポートも兼ねて向こうに移動するのも悪くないな。

 まったくスケジュールにはなかったが、予定を気分で変えられるのも、ひとりぶら野球旅の醍醐味である。

 甲子園周辺は完全に観光地化していた。

 充実の大会記念グッズの数々に、人で溢れる甲子園歴史館。さらに次試合の高校応援団が列を作って入場に備える。地元からバスで来たのだろうか。これは街を挙げての祭りだと実感させられる。

 ひと通り球場周辺を歩き、外野自由席500円で入場した。

 まずは腹ごしらえと、さっそく名物・甲子園カレー(550円)を注文する。……こ、これは、ゴメン、恐ろしく普通の味だ。まあキャンプ場で食べるカレーがなんだって美味く感じるように、球場でかきこむカレーも美味しくないわけがない。

 さらに甲子園やきそば(550円)とコーラ片手に外野スタンドへ向かう。

超高校級右腕の甲子園デビューを目撃!

 グラウンドでは創志学園(岡山)と創成館(長崎)の一戦の最中だった。創志学園の一塁側アルプスからは懐かしの『キン肉マン Go Fight!』が大音量で演奏されている。甲子園はグラウンドの選手たちだけじゃなく、ブラスバンドやチアガールにとっても日本最大級の文化祭である。

 しばらくそのフェス感を堪能していたら、周囲がザワつき始めた。

「これ何個目だよ?」「13個目」なんて声が聞こえてくる。どうやら創志学園の2年生エース西純矢投手が三振の山を築いているらしい。

 外野席からでもスライダーの尋常じゃないキレが分かる。三振を獲る度に感嘆のざわめきと広がっていく拍手。終わってみれば6者連続を含む毎回の16奪三振の完封勝利である。

【次ページ】 たった1試合で人生が変わる甲子園。

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