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遠藤航、植田直通もベルギー移籍。
トロイデンは欧州組の登竜門に。 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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posted2018/07/28 11:30

遠藤航、植田直通もベルギー移籍。トロイデンは欧州組の登竜門に。<Number Web> photograph by Getty Images

ロシアW杯では出番がなかった遠藤航。ベルギーリーグでもうひとレベル大きなプレーヤーとなりたい。

「ボランチやアンカーで勝負したい」

 実際、11月には浦和でアジア・チャンピオンズリーグ優勝を経験し、ワールドカップのメンバーに選出された。だが、夢の舞台に立つことは叶わず、悔しさを募らせた矢先に舞い込んだ海外からのオファー。タイミングとしてはこれ以上ないものだった。

 海外移籍へのスタンスが揺るがない一方で、揺れ動いたのは起用ポジションへの思いだ。若い頃は「この身長(178センチ)でも通用することを示したい」と、センターバックへのこだわりが強かった。

 その後、「今はあえてこだわりを持たないようにしている」という時期を経て、2016年のリオ五輪以降は「ボランチやアンカーで勝負したい」とはっきりと口にするようになった。世界の舞台を経験したことで、ヨーロッパでプレーする自分のイメージが鮮明になったのかもしれない。

 一方、浦和ではボランチ、サイドバック、センターバックと、監督やシステムによって起用ポジションはさまざまだった。遠藤のポリバレントな能力が指揮官の戦術の幅を広げたのは間違いないが、ボランチでのプレーを切望する遠藤にとって、その状況は決して歓迎できるものではなかった。

W杯前に明かした“万能”の悩み。

 ワールドカップの前には、その悩ましさを打ち明けている。

「良く言えば、『どこをやらせても、あいつはそれなりにできるな』と思ってもらえていると思うんですけど、逆に言えば、『おまえの本当のポジションはどこなの?』っていうのが現状だと思うんですよ。でも、今大会に関しては、どこでもできるということをポジティブに捉えて、やっていくしかないと思っていて……」

 結局、西野ジャパンでのプレーは、最後のテストマッチとなったパラグアイ戦で右サイドバックとして出場した45分間にとどまり、“守備のユーティリティ”という枠から飛び出せなかった。そうした無念を抱くだけに、今回の移籍にあたって遠藤が「ボランチで勝負したい」と改めて宣言したのは、当然のことだろう。

【次ページ】 遠藤、関根、冨安が所属するトロイデン。

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