Jをめぐる冒険BACK NUMBER
遠藤航、植田直通もベルギー移籍。
トロイデンは欧州組の登竜門に。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byGetty Images
posted2018/07/28 11:30
ロシアW杯では出番がなかった遠藤航。ベルギーリーグでもうひとレベル大きなプレーヤーとなりたい。
山口蛍がハノーファーで経験したこと。
ただし、懸念すべきこともある。
身近に日本人の多くいる環境がどう影響するか――である。
「航のほかに日本人選手があとふたりでしたっけ? 自分はそこに甘えてしまったから、そうならないようにしてほしいなって」
そう語ったのは、遠藤の移籍前ラストゲームの対戦相手、セレッソ大阪のキャプテン山口蛍である。2015年12月から半年間、ドイツのハノーファーに在籍した山口は、反省を込めて遠藤にエールを送った。
「キヨくん(清武弘嗣)と(酒井)宏樹がいて、ふたりに頼ることが多かったから、そこは失敗したなと思う。そうならないようにしたら、航はもっと成長できると思う」
遠藤に限らず、関根も冨安も、山口の言葉を心にしっかりと刻むべきだろう。
グルノーブル、ホルンといった前例。
振り返れば、IT企業のインデックス社が買収したフランスのグルノーブルや、実業家の坂本圭介がオーナーとなったスペインのサバデル、本田圭佑の所属事務所が実質的経営権を取得したオーストリアのホルンなど、これまで日本人が経営に乗り出したクラブはあったが、どこも成功したとはいいがたい。'16年の1部復帰以来、ふた桁順位の続くシント=トロイデンにとっても大きな挑戦となる。
欧州の主要リーグは8月半ば以降に開幕するが、ベルギー・ジュピラーリーグは今週末に開幕し、シント=トロイデンは7月28日、植田の所属するセルクル・ブルージュと開幕戦を戦う。
シーズンの始まりを告げるホイッスルが鳴ったとき、シント=トロイデンのホーム、スタイエン・スタジアムのピッチには、果たして何人の日本人選手が立っているだろうか――。