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「大舞台で決める力がある」と自負。
武藤嘉紀は最前線でこそ輝くのでは。 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byGetty Images

posted2018/06/15 16:30

「大舞台で決める力がある」と自負。武藤嘉紀は最前線でこそ輝くのでは。<Number Web> photograph by Getty Images

パラグアイ戦では右ウイングで先発し、2点目に絡んだ武藤嘉紀。どのポジションでW杯のピッチに立つことになるか。

今季ブンデスでシーズン最多8ゴール。

 我慢はピッチ内だけに留まらない。

 ドイツに渡って2年目の'16年には右膝を3度も負傷し、リーグ戦に6試合、ヨーロッパリーグに2試合、代表戦に1試合、合計9試合しか出場できなかった。17年は復活を印象付けたものの、当時のヴァイッド・ハリルホジッチ監督からなかなか声が掛からない。9試合ぶりの招集となった'17年8月のアジア最終予選のオーストラリア戦では、ベンチ外という屈辱を味わい、10月のニュージーランド戦では先発出場のチャンスを得たが、センターフォワードではなく左ウイングでの起用だった。

 試合後、武藤は希望とは異なるポジションでプレーする戸惑いを押し隠すように「やはり2年間ずっとFWをやっているので、だからこそ……。でも、監督の求めるポジションで頑張らないといけないなと思います」と語った。

 2017-'18シーズンは好パフォーマンスを続け、今年2月時点で移籍後シーズン自己最多タイとなるリーグ戦7ゴールをマークしていたが、4月にハムストリングを負傷。はやる気持ちを抑えて3試合を欠場したが、これが功を奏してラスト3試合で1得点2アシストの活躍を見せ、8ゴールを記録するのだ。

「一瞬早く触ったり、股の間とか」

 帰国後、日本代表に合流した武藤は、自信をみなぎらせて言った。

「1個前の試合で出ようか迷ったんですけど、もう1回(ケガを)やったら本末転倒なので、そこで我慢できた。今までの自分だったら焦ってしまうんですけど、1個遅らせたことによって良いコンディションで臨めたんです。最後3試合はボールを取られる気がしなかったし、ゴールが取れる気がした。今までのサッカー人生でないくらい冴えていた」

 西野ジャパンで求められる仕事もマインツと変わらない。ハードワークして、我慢して、ワンチャンスを呼び込み、叩き込む――。

「イメージはできています。どれだけ泥臭くやって、チームのために走れるか。ボールを取ったあと、力が残っていなくてもゴール前に入っていくことが大事。ブンデスの各国を代表するCBとやっていて、少ないチャンスの中で点を取るイメージもあるし、実際に取ってきた。強い相手に裏抜けで一発で決められるチャンスはほとんどない。相手が強ければ強いほど、こぼれ球だったり、クロスだったり、相手より一瞬早く触ったり、あとは股の間とか。そういうのが生きてくるんじゃないかなと思います」

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