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ク・ソンユン「札幌は1つの家族」
韓国のクルトワに股抜きは通じない。 

text by

岩崎龍一

岩崎龍一Ryuichi Iwasaki

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/05/16 07:00

ク・ソンユン「札幌は1つの家族」韓国のクルトワに股抜きは通じない。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

Jを席巻する韓国人GKの中でも、ク・ソンユンの存在感は輝いている。

自分のミスで負けた試合。そして……。

 プレーの一つひとつに、研ぎ澄まされた集中力を注ぎ込まなければいけない。教訓を得た試合があった。昨年8月9日に札幌ドームで行われた第21節のマリノス戦だ。

 0-2で敗れたこの試合で、メディアはク・ソンユンが犯した2失点目となるオウンゴールを大きく取り上げた。右サイドの松原健の低いクロスをセーブしにいって、自陣ゴールに弾き入れてしまった。

 しかし、そのGKがより高い要求に応えられるポテンシャルを備えるのであれば、1失点目にも言及すべきだろう。扇原貴宏のワンバウンドのヘディングシュート。記録上はオウンゴールにはならなかったものの、右の肩口で弾いてしまった失点も、GKの責任と言われてもしょうがないものだった。

「2点とも自分のミスだったと思う。試合は自分のせいで負けちゃったと思います」

 そして時が経ち、いまはこう言える。サッカーには、最高の喜びを得るための最悪の試合があるのだと。

「ク・ソンユン、俺たちを救ってくれ」

 4日後のヴァンフォーレ甲府との第22節、ドラマは同じ札幌ドームで待っていた。

 試合前のウォーミングアップ。サッカーの場合、真っ先にピッチに入るのがGKのグループだ。ク・ソンユンは、いつも通り金山隼樹とGKコーチとともにピッチに入った。

 目に飛び込んできたのは、ゴール裏の横断幕だった。感動的な内容だった。そこにはハングル文字で、「ク・ソンユン、俺たちを救ってくれ。チームを助けてくれ」の文字が。サポーターは自分のミスを責めるのではなく、励ましの言葉を贈ってくれたのだ。

「いやー。本当に鳥肌が立ちました。泣きかけましたね。感謝しかなかったです」

 これまでの人生で味わったことのない、心の奥から込み上げてくる深い感情。ク・ソンユンが心から救われた瞬間だった。

 この一件を境に、思いを強めた。

「僕たちは普通のプレーヤーとサポーターの関係じゃなくて、1つの家族という感じですね」

 文字通り「北の家族」のために、ク・ソンユンは新境地を突き進むコンサドーレのゴールを守り続ける。加えて、その長身の体躯を活かしたゴールキーピングに注目したい。そのプレーは、これから出現してくるであろう日本、さらに東アジアの超大型GKを導く指針に必ずや、なるはずだからだ。

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