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ク・ソンユン「札幌は1つの家族」
韓国のクルトワに股抜きは通じない。
posted2018/05/16 07:00
text by
岩崎龍一Ryuichi Iwasaki
photograph by
J.LEAGUE
座って話している顔を覗き込むぶんには、まったく気づかない。ところが、立ち上がった全体像を見て「えっ」と驚く体型の人間というのが、ごく稀にいる。
小顔で長身。この類の人はそうそういるわけではない。女優の榮倉奈々などが、その典型だろう。そして、サッカー界にもそんなシルエットを持つ選手がいる。
ク・ソンユン。今シーズン、想像以上の躍進を見せる、北海道コンサドーレ札幌の23歳の門番だ。
195cmの身長は、Jリーグでレギュラーとして活躍するGKのなかでは、FC東京の林彰洋と並んで最長身。しかも体重は82kgと細身だ。体型的に見ると一時代前のオランダ代表のファンデルサール、
現在でいえばベルギー代表のクルトワのような部類だろう。東アジアの人間としては珍しい体型。その意味でク・ソンユンは、現代サッカーのGKとしての最先端に合致しているといえる。
身長と同じくらい、肩の高さが大事。
日本ではGKの体格を単純に身長だけで比較しがちだが、厳密にはそうではない。肩の高さの位置が重要になる。「肩が高い=手足が長い」ことを意味する。ボクシングでいうリーチの長さだ。
指先の第一関節で触れるだけでシュートの軌道を変えるというGKのプレーの特性を考えれば、数cmでもリーチが長ければ、それだけ有利になる。
サイズを活かしたク・ソンユンのゴールキーピング。
今シーズンの第10節、対横浜F・マリノス戦の開始3分のプレーが典型だろう。至近距離から、頭上を襲ったウーゴ・ヴィエイラのヘディングシュート。ク・ソンユンはクロスバーぎりぎりにきたそのボールを、ジャンプもせずに両手でディフレクトした。
一見、簡単そうに見えるこのプレーは、反応の速さはもちろんだが、長身であるからこそ可能なものだった。