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プロ野球、最多観客動員の裏で……。
「野球離れ」を裏付ける恐怖の数字。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2018/01/26 11:30

プロ野球、最多観客動員の裏で……。「野球離れ」を裏付ける恐怖の数字。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

広島カープは真っ赤に染まるマツダスタジアムのイメージが強いが、ビジターでの集客力も最強なのだ。

カープ以上に動員率が伸びている2球団。

<2014年から2017年にかけての観客動員数、動員率の増減>

阪神
268万9593人(81.5%)→303万4626人(91.9%) +10.5%
巨人
301万8284人(95.6%)→295万8890人(95.0%) -0.6%
ソフトバンク
246万8442人(90.5%)→252万6792人(92.4%) +1.9%
広島
190万4781人(82.7%)→217万7554人(94.3%) +11.6%
日本ハム
189万7789人(66.4%)→208万6410人(73.3%) +6.8%
中日
200万0912人(76.8%)→201万0772人(76.4%) -0.4%
DeNA
156万4528人(73.5%)→197万9446人(92.8%) +19.3%
ヤクルト
143万8775人(63.4%)→186万2731人(82.1%) +18.7%
楽天
145万0233人(70.0%)→177万0108人(82.4%) +12.3%
西武
149万8365人(63.0%)→167万3219人(70.9%) +7.8%
オリックス
170万3734人(65.9%)→160万8751人(63.1%) -2.8%
ロッテ
122万3915人(56.4%)→145万0164人(67.8%) +11.4%
パ・リーグ
1024万2478人(69.3%)→1111万5444人(75.2%) +6.0%
セ・リーグ
1261万6873人(80.0%)→1402万4019人(89.0%) +9.0%
全体
2285万9351人(74.8%)→2513万9463人(82.3%) +7.5%

 2014年と2017年の比較では、12球団中9球団が動員率を増やしている。

 なかでも伸びが凄いのは、DeNAとヤクルトだ。なんとなく「カープ女子」ブームで広島が一番増えているのかと思ったら、そうではないのだ。

 私は横浜スタジアムが好きでよく行くが、少し前まで、時間が空いたときにふらっと行っても普通に入ることができた。しかし、今はチケットの予約もままならない。

 動員率は3年前から19.3ポイント増えて92.8%になっている。DeNAナインは、ここ数年で観客席の景色がすっかり変わったのを実感しているのではないか。

 2017年では、12球団中5球団の動員率が90%を超えている。9割を超えてお客が入ると、ぱっと目には立錐の余地がないように見える。実際に営業面でも、これ以上伸ばすのはほとんど不可能になる。例えば横浜スタジアムには71試合が全て満員だとしても213万2789人しか収容できない。昨年の数字からの伸びしろはもう15.3万人余りしかないのだ。

 今年、巨人の観客動員が阪神に負けたのは試合数の問題だけでなく、動員率が95%に達し、ほとんど飽和状態にあることが大きいのだ。

 これ以上伸ばそうと思えば、観客席を増設するほかに手立てはない。

中日とオリックスはマイナス。話題性が必要?

 そんな中で、動員率は60~70%台なのに、2014年と比べて増減がマイナスになっているのがオリックスと中日。この2球団は、伸び悩んでいる。

 ともに、ここ数年ペナントレースでは下位に沈んでいる。それも大きいと思うが、スター選手が不在で、話題性に乏しいことも響いているかもしれない。

 1月に入って中日が松坂大輔を入団させたのも、「話題性」がほしかったのだろう。

【次ページ】 ホーム球場「以外」の観客数で、全国的な人気がわかる。

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