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牧田和久は世界中で「打ちにくい」。
アンダースローと緩急で海を渡る。
posted2018/01/25 08:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
晴れやかな表情だった。
ポスティングシステムで埼玉西武ライオンズからサンディエゴ・パドレスへの移籍を決めた牧田和久が1月10日、埼玉・所沢の球団事務所で会見を開いた。
「サンディエゴ・パドレスと無事に契約することができました。けっこう(契約までが)長くなると思っていたので、無事に決まってうれしいです。パドレスは、今はすごく強いチームというわけではないですが、若手が多くて、将来性のあるやりがいのあるチームだと思います。アンダースロー投手はなかなかいないので、それを武器にしていきたいですね」
カメラのシャッター音が鳴り響く中、こう語って顔をほころばせた。2月の渡米を目指して最終準備に入るという。
メジャー挑戦のきっかけとなったのは、2013年、2017年と2大会連続で出場したワールドベースボールクラシックだったと語る。
「世界のトップと戦ったときに、こういう舞台で投げたいと思いました。いちばん最近では昨年のWBC、オランダ戦で投げたときですね。シモンズら、強打者を打ち取れたときに、“やれるんじゃないか”という手応えを感じました」
渡辺俊介の一言に押された背中。
それでも、迷いがなかったわけではない。どうしても自分ひとりで決意できず、同じアンダースロー投手である元ロッテの渡辺俊介(新日鉄住金かずさマジック)に相談した。
渡辺は牧田に言った。
「他にいない投げ方だから相手バッターは戸惑う。通用する。牧田にはチャンスがあるんだから、ぜひ挑戦してほしい」
その言葉で、決心が固まった。
「サイドスロー投手はメジャーにも何人かいますけど、アンダースローはいない。必ず強みになると思います。とにかく今、自分が持っているもので勝負することがいちばんの目標です。壁にぶち当たったら、また新たな武器を見つけてどんどん成長していきたいですね」(牧田)