酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
プロ野球、最多観客動員の裏で……。
「野球離れ」を裏付ける恐怖の数字。
posted2018/01/26 11:30
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Hideki Sugiyama
昨年、NPBの公式戦の観客動員は、2513万9463人を記録した。これは実数発表を始めた2005年以降では最多。2005年は1992万4613人だから、12年で500万人以上増加した。今回は、「観客動員」の数字についていろいろ考えてみる。
昭和の昔、プロ野球の観客動員数は「いい加減な数字」の代表のようだった。私の通った高校では、適当なことをいう奴に「プロ野球の観客数みたいなこと言うな」と言ったものだ。
後楽園球場の巨人阪神戦は判で押したように「5万人」。でも、実数発表の日本シリーズでは「4万2182人」。そもそも後楽園球場のキャパは「4万2337人」だったから、5万人も入るはずがないのだ。
同時期のパ・リーグの球場には閑古鳥が鳴いていた。シーズン終盤、順位が決まった後の大阪球場なんか、「1人、2人」と数えられるくらい少なく、うすら寒い景色が広がっていたが、発表は「1000人」。
翌日、朝刊を見て「俺ら1人を10人くらいに勘定してるんと違うか」と友人と言い合ったものだ。
2017年の観客動員1位は巨人ではなく阪神。
その頃から比べれば、今の球場は本当にお客が入っている。
昨年、最も観客動員が多かった球団はどこか? 意外に知らない人が多いと思う。巨人ではなくて、阪神だ。動員数は303万4626人。2位巨人は295万8890人。
今、NPBはシーズン143試合を消化する。試合数が奇数なので、各球団の主催試合は72試合と、71試合の2つある。昨年は阪神が72試合、巨人が71試合だった。それも一因だが、それだけではない。
プロ野球の観客動員は、単なる数字の積み上げだけでは見えない。各球場の器の大きさが違うからだ。阪神の本拠地、阪神甲子園球場のキャパは4万7508人、しかしDeNAの横浜スタジアムは3万0039人、容れ物の大きさが違うから単純比較はできない。
ここでは動員率で、12球団の動員状況を見てみよう。比較のために2014年の数字とともに並べる。増減は、2017年の動員率から2014年の動員率を引いたものだ。
なお、NPBの球団主催試合は本拠地球場だけでなく、地方球場や、他球団の本拠地でも行われる。そうしたキャパの違う球場の動員率も加味している。