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坂本花織と樋口新葉はまだ高校2年。
平昌代表、運命の分かれ道について。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAsami Enomoto

posted2017/12/26 08:00

坂本花織と樋口新葉はまだ高校2年。平昌代表、運命の分かれ道について。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

今季、誰にも負けない大会数をこなし、急成長し、ついに五輪代表の座まで辿り着いた坂本。大会までの短期間に、さらなる成長を期待したい。

多くの試合をこなしながら今季急成長を遂げた坂本。

 坂本は全日本選手権のみ良かったわけではない。今シーズン、試合を重ねていく中で成長を遂げてきた。

 グランプリシリーズのデビュー戦となった第1戦のロシア大会は5位にとどまったが、上位の選手の中では圧倒的に多い試合数をこなしながら徐々に力をつけていき、11月下旬、坂本にとってGP2戦目のアメリカ大会では自己ベストの大幅な更新となる210.59で2位となった。この急成長していった点も、大いに加味されたのだろう。

世界選手権代表となった樋口の、その理由。

 平昌五輪代表にはなれなかった樋口は、世界選手権の代表には宮原とともに選ばれた。坂本と2大会の代表を分け合った形だが、そこには樋口への評価の高さがうかがえる。

 世界選手権には来シーズンの世界選手権の国別の出場枠がかかっている。日本とすれば最大の3枠を獲得したいところだが、3人が出られたときは仮に1人が不調でも残りの2人でカバーできた。だが2人ということは、1人が下位に沈めば3枠獲得が困難となる。上位進出が必ず可能な高いレベルの2人でなければならない――その条件の下で樋口は選ばれているのだ。

 今シーズンのショート『ジプシーダンス』、フリー『007 スカイフォール』は素晴らしかった。特に『007 スカイフォール』は出色と言ってよいほど樋口にふさわしく、彼女の良さを引き出すプログラムだ。

 樋口には大きな舞台で完成された演技を観てみたいと思わせる魅力がある。

 それが現実となったとき、また1つ殻を割れるはずだし、もう一回り、大きくなれるはずだ。幸い、樋口本人はすでに前を見据えている。

【次ページ】 高校2年生2人の新しい出発点となった全日本。

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