オリンピックへの道BACK NUMBER
坂本花織と樋口新葉はまだ高校2年。
平昌代表、運命の分かれ道について。
posted2017/12/26 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
宮原知子に続き、2人目の代表選手の名前がアナウンスされると、誰よりも大きな拍手が場内に鳴り響いた。
リンクへと足を踏み入れると、晴れやかな表情で中央へと進んだのは、坂本花織だった。
平昌五輪代表選考会を兼ねたフィギュアスケートの全日本選手権の女子は、12月23日にフリーが行われ、優勝した宮原知子が自動的に内定。残る1枠は誰の手のものとなるのか、翌日の公式発表の焦点となった。
全日本選手権が終わった時点で、選考基準に照らし合わせて代表選考の対象となる選手は、大会前から増えることはなく、坂本、樋口新葉、本郷理華の3人に絞られていた。
ただ、全日本選手権で6位にとどまった本郷の可能性はなくなり、実質的には2位の坂本、4位の樋口の両者が選択肢として残った。
どちらを選ぶか――選考の席上の議論は白熱したという。
どちらにも代表に選ばれるだけの理由があるからだ。あらためて、2人が代表候補となった経緯、そして明暗を分けた理由を見ていきたい。
自己ベストを更新しての全日本2位という成績。
全日本選手権での坂本は、置かれた状況を考えれば、見事のひとことに尽きた。
21日のショートプログラムでトップに立つと、中1日で行われるフリーは抽選の結果、最終滑走で臨むことになった。ショート1位であることに加え、さらに重圧がかかる状況を迎えたのである。
その中で、冒頭の3フリップ-3トウループこそ「ちょっと(回転が)足りなかったかなと思った」と言うように回転不足となったが、その後はほとんどのジャンプを正確に決めていく。最後のジャンプを成功させると、フィニッシュまで観客席の拍手がやむことはなかった。
総合得点は213.51。
国際スケート連盟非公認ながら、自己ベストを更新しての2位であった。