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浦和が初体験する「アウェーのCWC」。
開催国枠とアジア王者の立場の違い。
posted2017/12/09 08:00
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph by
AFLO
浦和レッズがクラブ世界一を決めるFIFAクラブワールドカップに臨む、その初戦が近づいてきた。準々決勝で対戦するのは、オセアニア王者オークランド・シティを破った開催国アラブ首長国連邦(UAE)代表のアルジャジーラに決まった。
この大会に開催国枠が設置されたのは、日本で開催された2007年のことだ。折しも浦和がAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を制してアジア王者に輝いて出場し、翌年はガンバ大阪がアジアを制して出場しただけに、その存在はクローズアップされなかった。
この両チームはそれぞれ3位という成績を残し、サッカー後進の地域と見られ続けてきたアジアの意地を示した。世界にアジアとJリーグの存在をアピールしたという意味で、大きな功績を残したと言えるだろう。
さらに、'11年には柏レイソルが4位、'15年にはサンフレッチェ広島が3位、'16年は鹿島アントラーズが準優勝と、Jリーグ勢の活躍が目立ってきた大会でもある。しかし、先に挙げた2チームと異なるのは、これが開催国枠での出場だったということだ。
例えば、昨年の鹿島が決勝戦まで進出して欧州王者レアル・マドリーと延長戦までもつれ込む熱戦を演じたのは非常に素晴らしいことだ。当然、その大会の準優勝チームとして大いに称えられるべきなのは間違いない。それは柏や広島にも同様のことが言えるが、サッカー界にあるピラミッド構造の中で、1つの大きなステップをパスして舞台に立っていたという事実はそこにある。
世界一への一本道があるのは、サッカーの魅力。
以前、他競技の経営に関わっている方に「サッカーは新しくチームを立ち上げても、しっかりと立場があるから良いですよね」と言われたことがある。なぜなら、サッカーでは新たにクラブチームを立ち上げた時点で、世界的なピラミッド構造の一番下に居場所が自動的に与えられるからだ。
そして国によって差はあるにしても、リーグ昇格を経て国内王者やそれに準ずる成績を残すことが目標になる。それをクリアすると大陸王者を決める大会に出場できて、さらにその勝者になったならばクラブワールドカップで世界一を争う権利を得る。
道は長く険しいものの、非常にシンプルな一本道が存在する。この分かりやすさは、ピッチ外の部分でサッカーが持つ魅力の1つだと考えている。