マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
社会人野球の“ステップ”もアリ!?
宮台康平に勧めたい険しい我慢の道。
posted2017/10/25 17:15
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
先週末、日本列島をほぼ縦断して北へ抜けた「台風21号」。この猛烈に強力だった季節はずれの台風のゆくえに一番気をもんだのは、選挙の人たちとこの学生球界屈指のサウスポーだったのではないだろうか。
この秋のリーグ戦、チームの最終週。
それは、プロを目指すこのサウスポーにとって、その存在感をアピールする「ラストチャンス」だったからだ。
東京大・宮台康平投手は、プロ12球団がドラフト直前の最後の最後までその投球を見つめ続けた、期待のサウスポーだ。
2年生の秋、140キロ台の快速球をコンスタントに投げられる左腕が“東京大学”から出てきたから驚いた。
速いだけじゃない、左腕だというだけじゃない。全身をしなやかに使った投球フォームに、スライダー、チェンジアップが打者の手元で変化して、甲子園で鳴らした強打者、好打者居並ぶ六大学の打線相手にピンチに三振を奪って切り抜けたから、もっと驚いた。
なかなか安定しなかった、この秋の投球。
それが、そこから1年で肩にきた。
3年の秋はほぼひとシーズン肩を休め、テークバックで両腕が作る“M字”の角度をちょっと平らにして、肩の負担の小さなフォームに変えて臨んだこの春も、球筋は乱れ、ストライクを取りにいったボールを痛打されて終わってみれば防御率8点台。
まさに、捲土重来、背水の陣で臨んだこの秋が、宮台康平、最後の神宮のマウンドになるのだ。
慶應義塾を2点に抑えて完投したかと思えば、早稲田には6回で8点奪われ途中降板。翌週の法政戦では、今度は2点取られたものの完投勝利をあげて、その2点も内野ゴロとエラーの2失点。
まさに「照る日曇る日」。“裏とオモテ”を交互に見せられた思いのプロ側は、最終週の明治戦に結論を持ち越さざるを得なかった。