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クラブ活動って“ブラック”なの?
学校の先生が部活の顧問を断る方法。 

text by

小塩康祐

小塩康祐Kosuke Ojio

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photograph byTamon Matsuzono

posted2017/08/21 08:00

クラブ活動って“ブラック”なの?学校の先生が部活の顧問を断る方法。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

学校教育におけるクラブ活動は、現代生活の多様性についていけていないのかもしれない……。

部活の顧問をしたくない場合、どうすればいいのか?

 質問にもあるように、今後部活の顧問を継続することが難しい場合や、そもそも部活の顧問をしたくない場合はどうすればいいかについて、以上を前提として法的に答えるとすれば、明確に断ればいいということになります。

 法的義務もなく、また、時間外手当も支給されず、裁判所に訴えたとしても、「自主的・自発的」にやっていると判断されることを嫌々やる必要はありません。

 しかし現実的には、他の先生との関係や生徒との関係もあり、拒否することが難しいケースもあるでしょう。

 そこで、次善の策として(1)練習時間の削減、休養日の設定を協議することや、(2)外部指導員の導入の打診をすることがいいと思います。

 (1)については、文部科学省作成の平成29年1月6日付け「平成28年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果の取扱い及び活用について(通知)」にも、「一週間の中で休養日を設定しない学校や、一箇月の中で土曜日や日曜日の休養日を設定していない学校においては、学校の決まりとして休養日を設定すること等を通じて、運動部活動の適切な運営を図ること」等の記載がありますし、(2)については、2015年度から大阪府で試験的に実施が始まっています。

 特にその部活動の経験もなく、十分な知識もない先生が生半可な勉強で顧問になるよりは、指導方法や体力向上の方法に詳しい外部指導員を入れることは、生徒の為にも意味のあることだと思います。

 いずれも、直ちに全ての問題を解決する方策にはならないかもしれませんが、50年間放置された部活問題については、段階的に解決をしていくしかないと思います。

これからの時代、部活はどう変わる?

 冒頭にも述べたように私自身は、部活は素晴らしいものであると思っています。

 しかし、今までの方法では10年後、20年後には部活は無くなってしまっているかもしれません。学習塾に通う生徒が多いように、学校外の野球やサッカーのクラブチームに所属する生徒が増えるかもしれません。地域のクラブが学校の部活に取って代わる可能性も十分にあると思います。部活がよりよいものになるために、関係者各人が真剣に考え、段階的になるかもしれませんが変革をすることが必要な時期になっています。

 *このコラムの法律的見解は、筆者の個人的見解です。

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