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クラブ活動って“ブラック”なの?
学校の先生が部活の顧問を断る方法。 

text by

小塩康祐

小塩康祐Kosuke Ojio

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photograph byTamon Matsuzono

posted2017/08/21 08:00

クラブ活動って“ブラック”なの?学校の先生が部活の顧問を断る方法。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

学校教育におけるクラブ活動は、現代生活の多様性についていけていないのかもしれない……。

先生は部活の顧問をする義務があるの?

 それでは、先生は部活の顧問をしなければならないのでしょうか。法的に説明をします。

 公立の教職員の勤務条件について定められた、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(以下「給特法」といいます)では、教職員に対して、原則として時間外労働を命じることは許されないとされています(給特法6条1項)。

 例外として許される場合は、(1)校外学習等、(2)修学旅行等、(3)職員会議、(4)非常災害時の4つの場面のみとされています(公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令)。

 部活は、例外として時間外労働を命じることが許容される4類型のいずれにも属しないことが明らかですので、時間外労働として部活の顧問を命じることはできません。勤務時間内のみにおいて部活の顧問をすることも理論的には考えられますが、不可能であることは誰でもわかります。

 したがって、先生は、必ず部活の顧問をしなければならないという法的根拠はありません。

けど、実際のところは……?

 生徒が部活をすることも、先生が部活の顧問になるか否かも自由であることが法律の建付けですが、実際の教育現場ではどのようになっているのでしょうか。

 スポーツ庁が行った、部活に関する調査には興味深いデータがあります。

 昨年、2016年度の調査結果によると、中学生の約9割が運動部又は文化部の部活に所属しています。また先生についても、約9割の中学校で教員全員が何らかの部活の顧問になることが事実上求められていることが分かります。

 このように、法は、部活動は任意の活動であるという建前でありながら、現場では全員参加に近いということとなっており、法と現場との間には大きな溝があることが分かります。

【次ページ】 部活の顧問をしたら残業手当はもらえるの?

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