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松山英樹、6年ぶりの悔し涙の意味。
彼は確かに最終日の首位に立っていた。

posted2017/08/15 08:30

 
松山英樹、6年ぶりの悔し涙の意味。彼は確かに最終日の首位に立っていた。<Number Web> photograph by Sonoko Funakoshi

松山英樹は、確かに最終日の首位に立っていた。優勝が目前にある、という状況の経験は確実に彼をまたひとつ強くしたに違いない。

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舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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Sonoko Funakoshi

 松山英樹の悔し涙を見たのは、これが2度目だった。

 最初は彼がアマチュアにして出場した2012年マスターズの最終日。出だしの1番グリーンでファーストパットの感触に小さな狂いを感じ、「あれっ?」と思ったところから、あの日の彼のゴルフはガラガラと崩れていった。

「自分が不甲斐ない」

 そう言って流したあの日の松山の大粒の涙は、彼にとってはどうしようもなく悔しい涙ではあったが、メジャー優勝からは遠く離れたところにある涙だった。

 あれから5年、いや6年近い歳月が流れ、そして迎えた今年の全米プロ最終日、松山が見せた2度目の涙は、メジャー優勝に限りなく近づきながら届かなかったこと、自分でそのチャンスを手離してしまったことを、どうしようもなく悔いる、そういう涙だった。

「すごく不甲斐ない」

 悔し涙の意味を語る言葉は、あのときも今回も、まったく同じフレーズだった。

メジャー上位はあっても、首位を競う優勝争いは初。

 振り返れば、最初の悔し涙こそは、プロゴルファー松山英樹のすべての原動力となった。メジャーを制することを目標に掲げ、誰よりも鍛錬を積み、練習を重ね、究極と言えるほどの努力を続けてきた。

 プロ転向直後に挑んだ2013年は全米オープン10位、全英オープン6位といきなりトップ10入りを続けた。が、だからと言って5位、4位、3位、2位、1位という具合に上昇し続けるほど甘い世界ではないことを松山自身が翌年から痛感させられた。

 昨年はマスターズ最終日に、メジャー初優勝の夢をほんの一瞬だけ見ることができた。が、それは首位を走っていたジョーダン・スピースが大崩れしたおかげで転がり込んだ、いわば「もらったチャンス」だった。そして、松山はそのチャンスを生かせず、7位に終わった。

 4位になった昨年の全米プロは、松山にとっては不調から抜け出すための手ごたえと自信を得た大会となり、優勝争いをしたという印象は薄かった。

 そして、2位になった今年の全米オープンは、最終日に猛追をかけた松山と上位陣の崩れがうまく相まったことで結果的に順位が上昇したという形の2位だった。

 そう、これまでの松山はメジャーで上位入りしたことはあっても、メジャーの最終日に首位に立ったことも実は一度もなく、首位の座を競い合う優勝争いはメジャーにおいては味わったことがなかったのだ。

【次ページ】 すべての運命を狂わせた11番の第2打。

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