松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER

松山英樹、6年ぶりの悔し涙の意味。
彼は確かに最終日の首位に立っていた。 

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舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph bySonoko Funakoshi

posted2017/08/15 08:30

松山英樹、6年ぶりの悔し涙の意味。彼は確かに最終日の首位に立っていた。<Number Web> photograph by Sonoko Funakoshi

松山英樹は、確かに最終日の首位に立っていた。優勝が目前にある、という状況の経験は確実に彼をまたひとつ強くしたに違いない。

すべての運命を狂わせた11番の第2打。

 だが、今年の全米プロでは最終日にメジャーで初めて首位に立った。

 7番のバーディーで単独首位を走っていたケビン・キスナーに初めて並び、8番をパーで切り抜けたとき、7番でボギーを喫したキスナーと入れ替わって松山が単独首位へ浮上した。9番はしっかりパーを拾い、10番では6メートルのバーディーパットを見事に沈めて大観衆を沸かせた。

 だが、続く11番が転機になった。フェアウェイからの第2打をグリーン右に外し、ボールはラフに沈んだ。その第2打が松山の心を大きく乱した。

「あのセカンドショットが自分の中ですごく痛かった。難しくない状況からミスしてしまったのが、きつかった。バーディーチャンスに付けられる位置からボギーにしてしまったのが、自分の中ですごく不甲斐ない」

「そこから先は、もう、どうしようもないなって」

 それでも、まだ首位タイだった。しかし、12番のボギーで3位タイへ、13番のボギーで6位タイまで後退。

「そこから先は、もう、どうしようもないなって感じで……」

 それでも松山は諦めず、14番、15番は連続バーディーを奪った。まだチャンスは十分に残されていたし、松山自身、希望を捨てたわけでは決してなかった。

「最後の3ホールは難しいし、ピンポジション的には、今日、なんかバーディーが取れるような気がしていたので、うまくいけばなという感じだった。でも16番のティショットのミスとパットのミスが結構効きました」

 16番も18番もボギーを喫し、終わってみれば、優勝したジャスティン・トーマスとは3打差の5位だった。

「自信を持って打てるような技術が(まだ)ないのかな」

【次ページ】 松山の涙は、脆い自分になってしまったこと。

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