フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ベンゲルが、こんなに嫌われてる!?
辞任すべき理由を全部並べてみた。
posted2017/03/16 21:00
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph by
Franck Faugere
フランス・フットボール誌が3月7日号からリニューアルを果たした。
ヨーロッパ4大リーグやチャンピオンズリーグなど国際面がより充実し、メインにはチャンピオンズリーグ・ラウンド16、バルセロナ対パリ・サンジェルマン戦を前に、フランク・シモン記者によるアドリアン・ラビオ(PSG)のロング・ポートレートとフローラン・トルシュ記者のルイス・スアレス(バルセロナ)独占インタビューを据えている。
新設された「オピニョン・言葉の一撃」というタイトルのコラムでは、ティエリー・マルシャン記者のアーセン・ベンゲルへの辛辣な批判を掲載している。
ここ数年、フランスのメディアではベンゲルがアーセナルの監督を続けることの是非がしばしば取り上げられている。だがそのほとんどは、メインの論調が解任でも賛否両論併記の形をとり、ベンゲルのこれまでの功績を称賛する人々のコメントを必ずといっていいほど紹介してきた。ミシェル・プラティニやジネディーヌ・ジダン、あるいは先日なくなったレイモン・コパ(フランス人として1958年にはじめてバロンドール受賞)らと並んで、ベンゲルはそれだけフランスサッカー界やメディアにとって大きな存在であったし、今もあり続けている。
だが、わずか1ページのコラムの中で、マルシャンが列挙しているのはベンゲルの罪のみであった。
個人署名のコラムとはいえ、同誌がここまでベンゲルを辛辣に断じたのを見た記憶は筆者にはない。
アーセナルがなぜ行き詰ったのか。
ベンゲルがどうして裸の王様のようになってしまったのか。
筆者も数年前に原稿に書いた。そのとき以来、ベンゲルとはコンタクトをとっていないが、状況はマルシャンの述べるように変わっておらず、悲しい思いを抱きながらアーセナルを遠くから見守ってきた。
彼がどうすべきかを誰かが言葉にしなければならない。それはマルシャンの判断であるとともに、編集部の決断でもあるのだろう。
監修:田村修一
去るべき理由その1:彼が問題を感じていないから。
アーセナルの各シーズンは、まるでお決まりの連続ドラマを見ているようだ。
始まりがどうで終わりがどうなるか、われわれはすでに知っている。
そこには常に悲壮感が漂っているし、ストーリーには同じ要素が溢れている。脚本家も兼ねる監督(ベンゲル)は、シナリオを書き換えるために何かしたのか?
何もしない。