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「日本=運動量」という代名詞の話。
男女のアイスホッケーを例に考える。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byKyodo News

posted2017/02/16 08:00

「日本=運動量」という代名詞の話。男女のアイスホッケーを例に考える。<Number Web> photograph by Kyodo News

ソチの時には10位だった世界ランクも7位まで上がり、日本の女子アイスホッケーはメダルを争う圏内にいる。

「女子はスピードと運動量で勝てれば活路がある」

 それに対し、女子アイスホッケーは原則、ボディーコンタクトは禁止されている。そのためスピード、スティックコントロール、細かな戦術などが生きやすい。そこら中でガツンガツンやっている男子と比べると、女子の試合は常に流れていて、大げさに言えば、競技は一緒だが種目が違うという印象すら受ける。

 山中が説明する。

「女子の場合はスピードと運動量で勝れば、攻めているときも、ディフェンスが攻撃参加するなどして数的優位をつくれる。それに対し、男子はどんなに数的優位な状況をつくっても、コーナーで抑え込まれたらどうにもならない面がある」

競技人口でも、日本の女子は世界6位。

 そしてもう1つ、女子の世界で日本が優位に立てている要因を、山中はこう語る。

「日本はお陰様で、他国に先んじて普及と強化ができた。それに比べて、他国は女子の普及が遅れている。今回女子が勝ったオーストリア、フランス、ドイツには、男子の世界では正直かなわない。それ以外の国でも、ノルウェーとかデンマークとか、男子は世界のトップレベルなのに、女子は日本より下という国がたくさんある」

 総じていえることだが、北米以外の地域では、ボディーコンタクトのある女子団体競技は、男子ほど盛んではない。やはり男のスポーツの印象が強いのだろう。

 国際アイスホッケー連盟のホームページによると、日本の女子アイスホッケー人口は2586人と世界で第6位にランクしている。

 競技人口だけが強さの指標ではないが、日本女子の現在の世界ランキングは競技人口とほぼ同位の7位だ。同21位の男子と比べると、夢のような数字だ。

 ただ、すでに、アイスホッケー強国が本格的に女子チームの強化にも乗り出しつつある。日本女子は決して運動量だけで勝ち抜いたわけではないが、そのとき日本のスタミナがどこまで強みとなるのか。それはそれでまた楽しみである。

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山中武司
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