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高梨沙羅と伊藤有希、最高の前哨戦。
超難関の五輪ジャンプ台を攻略!
posted2017/02/22 07:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Kyodo News
平昌五輪を約1年後に控え、テストを兼ねたプレ五輪大会が各競技で行なわれており、2月15、16日にはノルディックスキー・ジャンプ女子のワールドカップが開催された。平昌のジャンプ台の難しさがあらためて確認された大会の中で、高梨沙羅、伊藤有希の2人は力を証明した2日間となった。
初日の15日は伊藤が今シーズン4度目の優勝を果たし、高梨は2位。16日は高梨が優勝し、伊藤が2位。日本勢が連日ワンツーフィニッシュを飾っている。
特に目を引いたのは高梨の修正力だった。
高梨は2位にとどまった15日の試合後、いつにも増して、悔しさを露わにした。それは前週のワールドカップを欠場し、この試合に照準を合わせていたからというのもあってだ。何よりも自分の納得のいくジャンプではなかったことを悔いたが、そこには本人の調子だけではない要素があった。
スタートを切るゲートが10段も変更された。
この日の高梨は公式練習、試合を含めると計6本飛んだが、高梨がスタートを切るゲートは最大で10段変更された。ゲートの位置は風向きや強さにより、コーチあるいは競技責任者の判断で変更されるが、ここまで大きく変わってしまうと、助走距離はもちろん、感覚も変化する。そこにアジャストする難しさがあった。
この試合で大きくゲートが変わったのは、高梨のほかには1月の札幌大会で優勝したマーレン・ルンビ(ノルウェー)のみで、そのルンビも4位にとどまった。高梨の助走スピードを見ても、すべてのジャンプが他の上位の選手よりも遅い速度で、優勝に一歩届かない要因になった。