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過去のWBCを「野球本」で読み解く!
王貞治、原辰徳らの本音の舞台裏。

posted2017/02/14 11:00

 
第1回WBCでの王貞治監督とイチロー。国代表の威信をかけた国際大会で、日本野球の強さを証明した。

第1回WBCでの王貞治監督とイチロー。国代表の威信をかけた国際大会で、日本野球の強さを証明した。

text by

中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

PROFILE

photograph by

Naoya Sanuki

 たまには野球をやるのでも見るのでもなく、読む。

 気が付けば、月に数回はぶらりと本屋の野球本コーナーに足を運んで新刊をチェックしている。

 監督や選手が書く野球本は面白い。なぜなら、あの大一番の舞台裏、首脳陣のベンチでの葛藤、グラウンド上の選手たちの知られざるエピソードといった「テレビや新聞じゃ言えない真相」や「今だから書ける本当のこと」で溢れているからだ。合コン後の反省会が異様に盛り上がるあの感じに近い。

 名勝負の映像を脳内で再生しながら、文字を追うとまるで答え合わせをしているような気分になれる活字野球の世界。いわば野球本とはベースボールを楽しむ「参考書」であり、同時に「爽やかな暴露本」なのである。そりゃあ面白いに決まっている。

 今回は、気ままにぶらりと書店に出かけ、知的で下世話で刺激的な過去の野球本を発掘して紹介しようと思う。

 まずは開幕まで2週間を切ったWBC侍ジャパンの戦いの歴史を関連書籍とともに振り返ってみよう。

王さん自身が語る「“王貞治”を演じきるということ」。

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『王の道  “王貞治”を演じ切るということ』
(飯田絵美・著/メディアファクトリー/2009年1月23日)
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 おおっ、いきなりとんでもない大物だ。第1回大会優勝監督にして、言わずと知れた世界のホームラン王。本書の発売もソフトバンク監督を退いた半年後にして、第2回WBC開催直前という絶妙な時期である。しかもサブタイトルには「王貞治を演じ切る」の一文……。ヤバイ、不穏なシュートマッチ感も半端ない。その期待通り、本の中で王は本音で「代表チームっていうのは、各チームの主力ばっかりでしょ? でも控えで使わざるを得ない選手がいる。どうバランスを取るか、というのが、一番大変だったね」とスター選手が集う侍ジャパン監督の難しさを告白している。

 さらに優勝を決めたキューバとの決勝戦は瞬間最高視聴率56%、平均43.4%(ビデオリサーチ関東地区)を記録してハッピーエンドで終わったが、その裏の代表チームに対するサポート体制は決して万全とは言い難かった。

 なにせ「打撃投手が足りずに内野手の宮本慎也(ヤクルト)が投げる」というまるで弱小野球部のバス遠征のようなハードな環境だったのだから。

 特に食事に関しては、自称“ラーメン屋のせがれ”の王貞治も思うところはあったようで、「米国での食事なんて、ミールクーポン(食券)が1人100ドル渡されただけだったんだよ。選手は食べるからねえ。体が資本だし……」と愚痴ってみせる。

 '04年アテネ五輪の際に、日本の食材を詰め込んだコンテナを輸送し、高級和食料理店の料理長が同行したことを考えると雲泥の差。

【次ページ】 世界の王と天才イチローが牽引した'06年の侍ジャパン。

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