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「神ってる」は本当に流行ってる?
プチ鹿島、12月のスポーツ新聞時評。 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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photograph byKyodo News

posted2016/12/28 17:30

「神ってる」は本当に流行ってる?プチ鹿島、12月のスポーツ新聞時評。<Number Web> photograph by Kyodo News

流行語大賞授賞式にて。左から「聖地巡礼」(ディップ株式会社)、「ゲス不倫」(週刊文春編集部)、「神ってる」(鈴木誠也)、「保育園落ちた日本死ね」(民進党・山尾志桜里)。

おじさんための流行語大賞とSNSからのツッコミ。

「祝 神ってる」「神ってた16年 誠也」(日刊スポーツ・12月2日)

《喜びと戸惑いが交差していた。鈴木の名を全国に広めるきっかけとなった「神ってる」が流行語大賞を受賞した。(略)いったいどこまで「神ってる」のか、ついには流行語大賞の表彰台だ》

 おじさんは野球が大好き。だから「神ってる」も「トリプルスリー」(昨年の大賞)も、受賞は大きなできごと。紙面はお祭り騒ぎだ。

 流行語大賞とは「今年はこんな言葉が流行ったよね」という、おじさんによるおじさんのためのプレゼンだと思えばいい。で、そのあと「そんなの流行ってねーよ」とSNSからツッコミが発生するまでが流行語大賞なのである。

 そう考えると流行語大賞は「紙媒体」と「ネット」の温度差を確認できる貴重なセレモニーだともいえる。こんな有意義な機会、私は毎年楽しみで仕方がない。

 ちなみに「神ってる」の大賞受賞を伝えた日、スポーツ報知は「モデルの蛯原友里が髪の毛を20センチ以上カットした」という記事に、

「髪切ってる エビちゃん」

 と見出しをつけた。

 スポーツ新聞にとっていかに流行語大賞が大切なイベントかわかるだろう。

 では社会面をみてゆこう。

首脳会談に遅れたプーチンは宮本武蔵なのか?

「プーチン大統領大遅刻 宮本武蔵か?」(日刊スポーツ・12月16日)

 ロシアのプーチン大統領が日ロ首脳会談で遅刻してきた例の件。

 会談がおこなわれた場所が山口県だけに「巌流島」で喩えた。

 これはスポーツ新聞独特の視点かと思いきや、《巌流島の宮本武蔵になぞらえ、菅義偉官房長官の会見では「会談で優位に立つための戦術か」との質問が飛んだ》という記述があるので、官房長官での会見自体にも出たようだ。おじさんは歴史でたとえるのが大好き。

【次ページ】 その切れ味は、宮本武蔵か、佐々木小次郎か。

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