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最低1年、最悪無期失格は極端過ぎ!?
野球協約の反社会勢力関連に改正を。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2016/09/23 17:00

最低1年、最悪無期失格は極端過ぎ!?野球協約の反社会勢力関連に改正を。<Number Web> photograph by Kyodo News

巨人の野球賭博問題で記者会見をするNPBの熊崎勝彦コミッショナー。この会見では、巨人の3選手が無期失格処分とされることが発表された。

最低1年、最悪無期の失格処分では極端過ぎないか?

 この原稿を読んだ関係者は、概ね趣旨には賛同してくれる人が多かった。ただ、ある方から問題指摘があり、確かにそこで何か手を打つべきと考え、この原稿を書くことにした。

 その「問題」とは、現在の野球協約では、もし処分をするとすれば最低でも1年間、最悪のケースは無期の失格処分に処せられ、それはあまりに重くはないかということだ。

「無期であればその選手の選手生命を奪うに等しいし、1年であってもプレーヤーとしてのダメージが大き過ぎる。おそらく判断するコミッショナー側にも、その重さがあるからおいそれとは処分には踏み切れない心情もあるのではないか」

 関係者の指摘である。

 今回の元暴力団関係者との交遊が引っかかるとすれば、「賭博行為の禁止及び暴力団員等との交際禁止」を定めた野球協約180条で、そこでは違反者に1年または無期の失格処分を科すことが規定されている。

 もし処分となれば現在の野球協約では最低でもその選手を1年間の失格処分にしなければならず、選手は球団施設への立ち入りも禁止され練習の場所も失われる。そうなれば結果的には選手生命を奪う可能性もある処罰になるということだ。

 今回の元暴力団関係者との交遊に関して言えば、まったくお咎めなしか、それとも極論すれば選手生命を奪うかの2つに1つしか判断はないことになる。対処としてはあまりに針の振れ幅が大き過ぎるのではないか、ということなのである。

 その振れ幅をもう少し多様化して、適宜対応できるように幅をもっと持たせるべきで、そのためには協約改正の必要もあるのではないか、ということなのだ。

例えば2週間から1カ月程度の資格停止処分なども。

 例えば今回のように選手はまったく相手が暴力団関係者だと知らなかったケースなどは、例えば2週間から1カ月程度の資格停止にした上で、チーム施設への立ち入りは許可する。あるいは5試合から10試合など資格停止期間は短くして、年俸の5%から10%の罰金を徴収した上でオフには1カ月程度の社会奉仕活動を義務付ける、という方法もある。

 やり方は色々ある。いずれにしろ目的は「知らなかった」から許すことではなく、「知らなくとも」反社会勢力と交遊関係を持ったり、そういう施設に出入りをすれば処罰されるという意識を選手に持ってもらうことなのだ。

【次ページ】 「知らなかった」は赦されないが、程度の問題はある。

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