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金本監督「超変革」への批判は妥当か。
阪神が強くなるための“近道”を探る。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNanae Suzuki
posted2016/09/01 07:00
若手選手を積極起用している金本監督。在阪メディアは“待ち”の姿勢を取れるだろうか。
北條、原口を辛抱強く起用し続けた金本監督の功績。
私は金本監督の藤浪晋太郎に対する懲罰的続投(7月8日の161球)は支持しないが、北條、原口、高山の抜擢は支持する。阪神が行ったこれほど急激な若手抜擢は私の記憶にない。それまでの歴代監督やフロントトップは「人気球団ゆえに常に優勝争いするチーム作りをしなければならない」と言い訳を用意し、ベテランに依存するチーム作りを続けてきた。
その結果、阪神は2リーグ制になった1950年以降、優勝5回、日本一1回という中途半端な成績しか残してこなかった。
3年以上在籍しながら一軍で実績を挙げられなかった北條、原口をレギュラーとして起用することの覚悟。とくに3年間育成選手だった原口を支配下登録し、その後レギュラーとして起用し続けるというのは、金本監督にしかできなかったことだと思う。
今オフの戦略は様相が一変する可能性がある。
8月27日現在、勝率.458で5位に甘んじている状況を見れば成果は上がっていないが、パ・リーグでは日本ハムがヒルマン監督に采配を託してから優勝するまで4年間、ソフトバンクが王貞治監督に采配を託してから優勝するまで5年間を要している。成果が出るまで時間はかかっても、それ以降優勝争いの中心的存在であり続ける、そういうチーム作り、体質作りを金本監督は任されたのではないか。
8月28日のデイリースポーツonlineによると試合前4時間に及ぶ拡大編成会議を開き、FA戦略、外国人、ドラフト戦略など、議題が多岐にわたったと報じられている。この記事で非常に気になったのが「初年度は野手の補強を最低限にとどめるなど『若手育成』を重視した金本監督の強い意向が通った形だが、今オフの戦略は様相が一変する可能性がある」という箇所である。