もう「どうなんやろ？」というお試しではない。

　浅野自身も戦力となることを自らに課す。ブラジルから帰国直後に、彼はこう話していた。

「次に代表に呼ばれることがあったら、そこではもう日本代表のルーキープレーヤーとは見られなくなると思います。これまでは『あの浅野って選手はどうなんやろ？』って見てくれていた人が、もうそうじゃなくなると思う。そうなったときに、自分に何ができるのか。

　日本代表でもできて当たり前だと見る人が増えているでしょうし、日本代表の選手は全員がそうやって見られていると思うので、そのなかで何ができるのかが楽しみです」

　フットボーラーとしての自分を支える教訓がある。キリンカップのボスニア・ヘルツェゴビナ戦だ。1対2で迎えた終盤の決定機を、浅野は逃してしまった。自分が決めていればチームが勝つことができた、少なくとも引き分けることができた試合の終了直後、彼は悔し涙をこぼした。

「あのキリンカップの経験は、僕のなかではすごく大きくて。最後にゴールできなくて、悔しくて涙を流してしまいましたけど、次はもうミスをしても涙を流さないだろうなって、自分では思います。あそこでちょっと、鍛えられた部分はありましたね」

一流選手になるには、メンタルも一流に。

　ピッチでうつむくばかりの浅野は、ロッカーでうなだれていた21歳は、チームメイトに肩を叩かれた。励ましの言葉をもらった。

「あのとき、たくさんの選手から色々な言葉をもらいました。素直に嬉しかったですし、日本代表の選手はメンタルがホントに強いんだなと思いました。国際試合で自分の力を出すのは、簡単なことじゃないんだと改めて感じました。自分が向上していかなきゃいけないところがたくさん見つかって、メンタルがすべてじゃないんですけど、ああいうなかでやっていく上でメンタルの大切さはすごく感じました。一流選手になっていくには、メンタルも一流になっていかないとって思いますね」

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