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馬の力を溜める池添謙一のスタート。
シンハライトの「爆発的な数完歩」。 

text by

島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2016/05/23 11:15

馬の力を溜める池添謙一のスタート。シンハライトの「爆発的な数完歩」。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

直線、塞がっていた前が開いた瞬間にケタ違いの瞬発力で抜け出した。シンハライトの能力は本物だ。

オークス2着馬は出世する、のか?

 首差の2着に敗れた2番人気のチェッキーノは、4コーナーで馬8頭ぶんほど外を回したコースロスが響いた。戸崎が話していたように、もう少し前で立ち回っていれば、違ったレースができたかもしれない。

 とはいえ、桜花賞上位組と互角の力の持ち主であることは証明された。秋に見られるであろう、真の3歳女王決定戦の優勝候補の1頭であることは間違いない。 

 よく「ダービー2着馬は出世する」と言われるが、オークス2着となったこの馬には、同じ藤沢和雄厩舎のゼンノロブロイやシンボリクリスエスのほか、フェノーメノ、エピファネイアなど、のちに飛躍した歴代のダービー2着馬に通じるスケールが感じられる。

 スパッと切れるタイプではないが、最後まで伸びつづけ、ゴールの瞬間最高速に達するキズナのような走りをする。ライバルたちとはタイプが違うだけに、面白い。

 3着に来たのは、ミルコ・デムーロが乗る5番人気のビッシュだった。1番人気に支持された前走のフローラステークスでは、勝ったチェッキーノと同じラスト3ハロン最速の脚を使いながら5着。先頭から大きく離れた最後方から外を回してこの結果だったのだから、プラス12キロと体調が上向いた本番で3着に来ても不思議ではなかったわけだ。

消耗戦のレースで上位に来た馬は力がある。

 オークスの上位3頭、そして4着になったジェラシーも、道中は中団か後方につけていた。ということは、流れが速かったのか。いや、前半1000m通過が59秒8だから、それほど速くはない。また、上がり33秒台の脚を使った馬が、上記1、2、4着馬と8着のダイワドレッサーの4頭もいた。本当のハイペースならこうはならないはずだ。

 比較的ゆったりした流れだったのに、超ハイペースのような結果になった――という、ちょっと不思議なレースだった。

 時計的には緩い流れでも、消耗戦という意味でキツい競馬になったのか。

 こういう厳しい流れのなかで上位に来た馬は、どんな流れにも対応し、高いレベルのパフォーマンスを維持できる、つまりは強い、と言えよう。

 シンハライトは夏場を休養に当て、秋華賞を目標に調整されるとのこと。ここで不在だった桜花賞馬ジュエラー、NHKマイルカップを勝ったメジャーエンブレムとの再戦が、より楽しみになった。

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池添謙一

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