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細い体、遅いテンポ、踵に重心――。
ロッテ・二木康太が“隙”を2年で克服。 

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永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/03/15 10:40

細い体、遅いテンポ、踵に重心――。ロッテ・二木康太が“隙”を2年で克服。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

春季キャンプ中の練習試合を2回無失点に抑えた直後の二木。喜び駆け寄った平沢大河と思わずグラブでハイタッチ。

187cmから胸元へ投げ下ろされる、エグい角度の球。

 一軍のトレーニングコーチを務める楠貴彦からも、昨年の秋に助言を受けた。

「動きの中で方向転換するときに、足の裏でしっかり地面を踏むように、それと体重移動の際にバランスを自分の動きの中で考えてという話をしました。普段から土踏まずの周りをしっかり地面につけて歩いたり、生活の動きでもそこを意識するように」(楠コーチ)

 3人のコーチの的確な指導もあって、二木は周囲の想像を超える早さで頭角を現す。

 入団時は130キロ台だった直球も、今では常時140キロ台を出せるまでに成長した。187cmの長身と長い腕を活かしたボールは、エグい角度で打者の胸元をついてくる。

 とはいえ、疲労が溜まると踵重心の悪癖が出てきてしまうのが現状だが、それでもこのアドバイスを受けた昨年秋以降と今年を比較すれば、だいぶ変わってきたと楠コーチも太鼓判を押す。

森友哉との初の同級生対決で連続三振を奪う。

 今年3月11日のオープン戦(対埼玉西武)では、森友哉との同級生対決もあった。

 高校時代から名を馳せて、プロ入り後もあっという間に一軍入りし、それからずっと注目されてきた森と、高校時代は甲子園の出場もなく、プロ入り後もずっと下道を歩いて来た二木。好対照の2人だが、意外にもこの日が高校、プロを通じて初対決となった。

 その感想を、登板翌日に二木に訊いてみると、彼はこう答えた。

「(マウンドでは)特に意識することはなかったですけど、同じ年で早くから活躍をしていた選手なんで、いつも負けないようにとは思っていました」

 今までは遥か先を走る森を見ているだけだった。しかし、これからは違う。

 この日の対戦で二木は森から2打席連続三振を奪ったが、当然のことながら二木自身に満足するそぶりは一切見られなかった。

「僕はまだプロで活躍もしていないので……。ロッテでも西野さんが育成から上がって来て今、日本代表で投げていたり、そういう尊敬できる先輩が身近にいます。自分も西野さんのように、ここから活躍して早くそういう存在になれるようにやっていきたい」

 掲げた目標にもそう遠くない未来に到達する、そんな気がした。

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