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身長の有利無しでWNBAレギュラー!
渡嘉敷来夢、バスケ五輪代表の夢。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2015/08/24 12:15

身長の有利無しでWNBAレギュラー!渡嘉敷来夢、バスケ五輪代表の夢。<Number Web> photograph by Getty Images

キレのあるドライブを見せる渡嘉敷。身長ではなく、その類まれな運動能力、プレーセンスによってWNBAでは注目されることになった。

「最近、ディフェンスがすごく好きで頑張っている」

 もちろん、シュートが安定して決まらなかったり、自分が思うように攻められない時もある。そんな時に心がけているのは、自信をなくさないことなのだという。

「負けず嫌いだからこそ、たぶん思うようにいかない時に自信がなくなっちゃうんですよね。この前、チームの前で一人ずつ、自分のこれからの課題を言う機会があったので、自分は『せっかくトップリーグでやっているので、楽しみながら、自信をもってプレーすることだと思う』と言いました」

 オフェンスがうまくいかない時のよりどころはディフェンスだ。

「最近、ディフェンスがすごく好きで頑張っているんです。ディフェンスから流れを変えたり、速攻で走って流れを変えたりっていうのを自分の一番の武器にして、WNBA界でやっていきたい」

日本バスケットボール協会の制裁が、ついに解除!

 8月に入って、アメリカの渡嘉敷のもとに日本から朗報が届いた。FIBAから日本バスケットボール協会に科されていた制裁が正式に解除となり、日本女子代表も、リオ五輪予選兼FIBAアジア・バスケットボール選手権(8月29日~9月5日/中国・武漢で開催)に出場できることになったのだ。2年前のアジア選手権では優勝し、去年はアジア・チャンピオンとして世界選手権に出場している。渡嘉敷が唯一経験したことがないのが、オリンピックの舞台だった。だからこそ、5年後の東京オリンピックを待つのではなく、その前のリオ五輪に出たかった。

「東京オリンピックの前に、リオ・オリンピックに絶対に出たい。そこでオリンピックがどういうところなのかを肌で感じたい」と意気込みを語る。ストームのチームメイトでオリンピックに3回出場(アテネ五輪、北京五輪。ロンドン五輪)し、3回とも金メダルを獲得しているバードからも、「オリンピックは絶対に出るべき場所だよ」と聞き、オリンピックへの思いはより一層強くなったという。

 元々、この夏に母国日本を離れてWNBAに挑んだのも、「日本代表にとって何かしらプラスになるんじゃないかと思った」からだという。それだけに、オリンピック予選の前に制裁が解除されたことに安心したという。

「今まで制裁のことを気にせず、(WNBAで)練習をしてきたことが、やっとあの世界の舞台、アジアの舞台で表現できることになって、今までしっかりと練習してきてよかったなと思います」と喜んだ。

 一方で、世界最高峰のWNBAで経験を積んだからといって、すべてが順調に行くと楽観視しているわけでもない。日本代表は、繰り返しの練習でチームの連携プレーの精度を高めることで世界と戦ってきたチームだ。実際、渡嘉敷がアメリカにいる間に、他の代表選手たちは国内合宿やオセアニア遠征、国内で行われた強化試合を積み重ねている。渡嘉敷自身、大会直前にチームに合流するというのは初めての経験だ。

【次ページ】 代表チームの組織的なプレーにすぐ適応できるか?

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