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パウロ・ソウザがフィオを甦らせる。
「やつの試合はどれも退屈とは無縁」 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2015/08/17 10:40

パウロ・ソウザがフィオを甦らせる。「やつの試合はどれも退屈とは無縁」<Number Web> photograph by AFLO

ロンドンに乗り込んでチェルシーを撃破して見せたパウロ・ソウザのフィオレンティーナ。フィーゴ、ルイコスタと共にポルトガルの黄金時代を築いた印象も強い。

攻撃サッカーは維持、ティキタカは捨てる。

 パウロ・ソウザは、7月の高地キャンプへ臨むにあたり、昨季のELベスト4チームから受け継ぐものと決別するものとの間に線を引き、新チームのコンセプトを明確にした。

 前任者モンテッラが再三熱をこめて語っていた「自分たちでアクションを起こし、ゴールを奪いにいくサッカー」という考えに賛同するパウロ・ソウザは、これを継承する一方、“ティキタカ”とボールポゼッションへのこだわりをチームから無くすことにした。

 代わりに提唱したのは、計算されたアグレッシブ・プレッシングとGKを起点とする現在のバイエルン・スタイルの導入だ。

 正守護神の座を争う2人のGK、タタルサヌとセペの足捌きを向上させるため、キャンプでは、ごく狭い半円状のエリアで早いリズムのボール回しが取り入れられた。

 GKからの素早いリスタートを、中盤の底まで上がったセンターバックが展開する。1人余ったMFがさらに前線へ上がり、敵陣での攻撃に厚みを重ねる。

A・マドリーからやってきた大型MF。

「監督のやろうとしているサッカーは興味をそそる。スペインでいろいろタイトルを獲った自分も、ここでの新しい挑戦に引き込まれている」

 A・マドリーからやってきた期待の新戦力マリオ・スアレスは、今季のベースとなる4-2-3-1の肝となるべき選手だ。ビオラ(=フィオレンティーナの愛称)に欠けていたヘビー級MFは、マジョルカ時代の僚友ボルハ・バレロと6年ぶりに中盤のホットラインを組む。

 FWホアキンやDFマルコス・アロンソに続いて、フィオレンティーナのイベリア半島化は一層進むが、DFサビッチの抜けたセンターバックにはイタリア代表DFアストーリが補強された。

 昨季後半戦にセンセーショナルな活躍を見せたFWサラ―は、すったもんだの挙句ローマに引き抜かれ、度重なる怪我でついぞブレイクできなかったFWゴメスはトルコへ去ったが、新たに伝統の10番を継承した若手FWベルナルデスキがバルセロナ戦で2ゴールを決めるなど好調な上に、クラブのアイドルであるFWロッシも14カ月ぶりにグラウンド復帰を果たし、テストマッチでプレー時間を増やしている。

【次ページ】 「ソウザは相当頭が切れるやつなんだろうと思っていた」

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