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日本人のカップル競技の未来は?
国別対抗戦で注目のペアとダンス。 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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photograph bySunao Noto/JMPA

posted2015/04/15 11:00

日本人のカップル競技の未来は?国別対抗戦で注目のペアとダンス。<Number Web> photograph by Sunao Noto/JMPA

ソチ五輪での高橋&木原ペア。ふたりの公式サイトで、高橋は「ペアスケートに出会えた事で自分の人生は変わりました。また、そのきっかけを与えてくれた高橋成美選手に本当に感謝しています」と綴っている。

日本国内のカップル競技の知られざる実情。

「そのもっとも大きな理由は、日本国内のリンクにおいて練習のための貸切の時間をほとんど取れないことでしょう」

 そう語ってくれたのは、日本スケート連盟強化部でアイスダンスを担当する五島千寿さんである。

「各地のリンクで前向きに取り組んでいるところもあるけれど、シングル選手の貸切で満杯状態というのが大多数。アイスダンサーが貸切で練習できるのは、週に4、5時間未満というのが実情です」

 そんな中で昨年12月の全日本選手権では十数年ぶりに、アイスダンスが7組も出場した。それは過去2、3年の間に連盟が主導して、様々な機会に「トライアウト」という名前の認知から、地道に継続してきた結果なのだという。

「大学生くらいになると、自分のスケートに改めて真剣な思いで向き合う選手が多い。そこでアイスダンスに転向して頑張ってみようか、という気持ちになった選手が増えてきた結果でしょう」

 五島さんは、そう説明する。

必要なのは一般社会の注目度を上げること。

 7組の中には、全日本チャンピオンのキャシー・リード&クリス・リードをはじめ、海外を拠点にしてトレーニングしている組も少なくない。日本のシングルが現在のように世界のトップクラスになるまでにも、海外の名振付師やコーチたちの力を借りてきた。どのような形であれ、強くなるためにはまず競技人口を増やし、裾野を広げていく必要がある。そのためには、一般社会での注目度を上げていくことが大切だ。

 その意味では日本のシングルへの注目度が上がっていったのと反比例して、ペア、アイスダンスの地上波でのテレビ放映が少なくなったのは残念である。これはニワトリと卵の論理と同様で、強くなければ注目されず、社会の認知度が上がらないと競技人口もなかなか増えず……ということになる。

 せめて2年に一度の開催である国別対抗戦を機会に、カップル競技にももっと注目してみたい。

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