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代表コンビの解散に見るペアスケーティングの現状。
~日本も苦しむ「絶滅危惧種目」~ 

text by

野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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photograph byAsami Enomoto

posted2015/04/18 10:00

最後となった世界選手権は、SPで44.54点の19位。FSには進めず、不完全燃焼に終わった。

最後となった世界選手権は、SPで44.54点の19位。FSには進めず、不完全燃焼に終わった。

 ペアの高橋成美&木原龍一が3月31日に解散を発表した。ソチ五輪出場を目指し結成してから2年。'15年世界選手権で最下位となった直後の発表だった。これにより日本のシニア組は「ゼロ」。なぜ日本でペアが育たないのか。

 実はペアは世界的にも「絶滅危惧種目」である。男性が女性を持ち上げたり投げたりするため怪我の危険性が高く、好相性の相手を見つけるのが難しい。参加者減少のためペア種目を開催しない大会も増え、'15年世界選手権でも規定数に満たない19組が参加した。ちなみに女子シングルは最大の36人の枠が争奪戦状態だ。

 ISUによる苦肉の策が、ソチ五輪から導入された「団体戦」。4種目バランス良く強い国が有利なため、メダル欲しさのペア育成を促す“にんじん”作戦だ。

ペアの選手なら、長く競技を続けていける利点も。

 しかし日本では、リンクの少なさが育成の足かせだ。接触事故を避けるため貸切りでの練習が必須だが、男女トップ選手さえ練習場所確保に苦労しており、ペアに譲る余地はない。

 男女の身長差30cm以上が理想と言われるアクロバティックな種目のため、女子が小柄な面は有利だが、男子も小柄なのが悩みの種。4年前から連盟主導で結成のトライアウトを行っているが、川口悠子のようにロシア国籍を取得して五輪出場の夢を叶える選手もおり、才能ある女子が輸出されてしまっているのが現状だ。

 最大の壁は「ペアはシングルでトップに行けなかった人の競技」というイメージの悪さだ。髙橋は小学生のころ父親の転勤で中国に住み「トップ選手こそペア」という環境下で「カッコイイ!」と憧れてペアを開始した。木原は「シングルだと大学4年で引退するのが一般的だが、ペアなら長く競技を続けていける」と競技人生の長さを魅力に転向した。木原は「ペアはジャンプが苦手な人の転向する競技と思っていたけれど、始めてみると実際にはジャンプが好きな選手が多い。ペアに出会って人生が変わり、高橋成美選手に本当に感謝しています。ペアは30歳頃がピークなので、あと2度は五輪に出るつもりで頑張ります」と語る。

 2人はまずは平昌五輪に向け、新しいパートナーを公募中だ。どんな動機でもいい。2人が新ペア2組を結成し、いつか“意味のある結成と解散だった”と笑える日が来ることを待ち望む。

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