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「ノージャケットに罰金10万円」
男子ツアーに前代未聞の罰則規定! 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2014/09/17 10:30

「ノージャケットに罰金10万円」男子ツアーに前代未聞の罰則規定!<Number Web> photograph by Getty Images

タイガー・ウッズも、会場入りは大体ポロシャツにキャップ姿。この姿を見て「だらしない」と思うファンはどれほどいるのだろうか……。

マキロイをはじめ、ラフな姿で現れる選手たち。

 世界ランク1位のローリー・マキロイをはじめ、ほとんどの選手はキャップもかぶって、今にもティオフできそうなゴルフウェアにスニーカーを合わせ、手ぶらで車から降りてくる。

 アダム・スコットの頭に帽子はなかったが、契約先であるユニクロのずいぶん使い古した白いビニール袋片手に登場。人気者のリッキー・ファウラーは、お馴染みのフラットビルキャップと同じ色のシャツの裾をズボンからペロンと出し、ビニール製の小さなリュックサックを背負っていた。左右の肩紐に両手をやって歩く姿は、まるで小学生が遠足にでも行くようだが、スーツ姿のスタッフに笑顔で迎えられ、1904年開場の伝統コースのクラブハウスに消えていくのである。

 そんな具合だから、このルールについての彼らの反応は納得がいくものだった。

 ドイツのマーティン・カイマーは、今年6月に全米オープンでメジャー通算2勝目を挙げた29歳。日本の新ルールを聞くと、目を白黒させながら「本当に? どうして? 初めて聞いたルールだ」と言った。

 米ツアーを主戦場とする前、カイマーはアフリカからユーラシア大陸の20カ国以上を渡り歩く欧州ツアーの出身で、これまでに訪れた国は数知れず。紳士の国イギリスの、それも特に厳格なコースで、マネージャーやスタッフがジャケットに加えネクタイ着用を指示されたことがあるそうだが、それでもプレーヤーは別だったそうだ。

「(ジャケット、スーツ着用は)確かにゴルフや、コースに対するリスペクトだという考え方もあるだろうけど、一方では“やり過ぎ”だという意見もあって当然だと思う。服装とゴルファーへのリスペクトは別物では? それに『ゴルフをやってみようかな』と思う子供たちや若者にも、そうさせなきゃいけなくなるだろう」

スポット参戦の米ツアーの選手には適用されない。

 ちなみにこのルールは、日本ツアーに所属するツアーメンバーのみが対象。今年終盤に来日してスポット参戦するアダム・スコット、バッバ・ワトソン、ジョーダン・スピースといった米ツアーのスター選手たちについては適用されない方針とのことだが、カイマーは「バッバは(マスターズ優勝者に贈られる)グリーンジャケット、(21歳の)スピースは学生の時のものでいいんじゃない」と笑っていた。

【次ページ】 ファンから届く、服装の乱れへの“苦情”。

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