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「ギリシャのサッカーは守備的か?」
今、日本に必要とされる観察眼。  

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2014/06/18 16:30

「ギリシャのサッカーは守備的か?」今、日本に必要とされる観察眼。 <Number Web> photograph by Getty Images

コロンビアに0-3と大敗を喫したギリシャだが、FIFAランクではコートジボワールより上の12位。日本にとってはグループ最終戦に希望をつなぐためにも、確実に勝利が要求される。

ユーロ2004の成功体験と、新たな取り組み。

 ギリシャと対戦するときには、まずは彼らに対する思い込みを改める必要がある。

 では、ギリシャはどんな戦術を採用しているのか? ギリシャのフェルナンド・サントス監督は、4年間の取り組みをこう説明する。

「ギリシャはユーロ2004で大きな成功を収めた。人は成功体験から抜け出すのは難しい。だが、そこから前に進む必要がある。たとえ代表チームの練習時間が限られていようとね。現在のギリシャ代表は、『2004年のチーム』と『ポゼッションからチャンスを生み出そうとする攻撃的なチーム』のミックスだ。攻撃陣には確かなクオリティーがある」

 事実ギリシャの攻撃は、スペクタクルなプレーは乏しい。突出したパッサーはおらず、パッと見て目に飛び込んで来る個性的な選手は少ない。良く言えばバランスが取れた選手がそろっているということだが、悪く言えばスーパーなタレントがいないということでもある。

 しかし、ギリシャがときにチームとして不気味な強さを発揮するのは「精神力」という武器があるからだ。

 ドルトムントでプレーするセンターバックのパパスタソプーロスは言う。

「激しい闘争心がギリシャ文化のひとつだ。それが私たちのメンタリティーの根底にある。ギリシャ人は全員が闘士。負けず嫌いで戦いにすべてをかける。ギリシャ代表はそれを見せる絶好の場なんだ」

90分間隙を探し続ける忍耐力は注意。

 ギリシャには、得意な攻撃の形がいくつかある。たとえば左へワイドに張り出した192cmのサマラスを目がけてロングボールを出す形。サマラスは懐が深くキープ力があり、深い位置でパスの起点になれる。

 右サイドに目を向けると、ローマでプレーする右サイドバックのトロシディスがオーバーラップして打開を図る。この攻撃的サイドバックは、親善試合ポルトガル戦の後半途中からはポジションを上げて右アタッカーとしてプレーした。

 また3列目からボローニャのコネやオリンピアコスのマニアティスが献身的に飛び出して、縦に速い攻めを狙うのも得意な形だ。

 ひとつひとつのプレーに派手さはない。だが、彼らには愚直さがあり、90分間、相手に隙が生まれるのを待ち続ける忍耐力がある。

 ギリシャの武器は、カウンターだけではない。彼らは流れに応じてDFラインを上げ下げし、ときにポゼッションを高め、速攻と遅攻をミックスした攻撃を仕掛けてくる。C組第2戦の日本対ギリシャでは、互いにゲームの流れを読み、相手を観察する眼が鍵になりそうだ。

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