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ドアマットの逆襲。
~NBA弱小2球団、PO進出の理由~ 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byNBAE/Getty Images

posted2014/06/13 10:00

ドアマットの逆襲。~NBA弱小2球団、PO進出の理由~<Number Web> photograph by NBAE/Getty Images

長らく「未完の大器」と呼ばれていたが、正念場のプロ4シーズン目でついに開花したウィザーズのジョン・ウォール。

 NBAのプレーオフは、東地区はヒート、西地区はスパーズが優勝、ファイナルは昨年と同じカードになった。

 ここに来るまでは、例年以上の激闘だったと言っていいだろう。

 東西の地区1回戦は、全8カードのうち5カードが、最終第7戦の決着となった。全50試合のうち延長戦が8試合。これは地区1回戦としては最多記録だった。5点差以内の試合が24試合。その中で今季の特色として挙げることができるのは、いわゆる「ドアマットチーム」の躍進だった。踏みつけられる一方だった万年負け越しチームが、前評判を覆す躍進を遂げたのである。具体的にはトロント・ラプターズとワシントン・ウィザーズだ。ともに6シーズンぶりのプレーオフ出場だった。2チームの歴史を振り返りながら、今季の躍進ぶりを見ていきたい。

●NBAラプターズとウィザーズ 最近20シーズンの成績
シーズン ラプターズ ウィザーズ
貯借金 順位 プレーオフ 勝 敗 貯借金 順位 プレーオフ 勝 敗
'13-'14 48 34 △14 3 1回戦       3  4 44 38 △6 5 準決勝      2  4
'12-'13 34 48 ▼14 10 不出場 29 53 ▼24 12 不出場
'11-'12 23 43 ▼20 11 不出場 20 46 ▼26 14 不出場
'10-'11 22 60 ▼38 14 不出場 23 59 ▼36 13 不出場
'09-'10 40 42 ▼2 9 不出場 26 56 ▼30 14 不出場
'08-'09 33 49 ▼16 13 不出場 19 63 ▼44 15 不出場
'07-'08 41 41    0 6 1回戦      1   4 43 39 △4 5 1回戦      2   4
'06-'07 47 35 △12 4 1回戦      2   4 41 41    0 7 1回戦      0   4
'05-'06 27 55 ▼28 12 不出場 42 40 △2 5 1回戦      2   4
'04-'05 33 49 ▼16 11 不出場 45 37 △8 5 準決勝     0  4
'03-'04 33 49 ▼16 10 不出場 25 57 ▼32 13 不出場
'02-'03 24 58 ▼34 14 不出場 37 45 ▼8 9 不出場
'01-'02 42 40 △2 7 1回戦      2   3 37 45 ▼8 10 不出場
'00-'01 47 35 △12 5 準決勝     3  4 19 63 ▼44 14 不出場
'99-'00 45 37 △8 6 1回戦      0   3 29 53 ▼24 13 不出場
'98-'99 23 27 ▼4 10 不出場 18 32 ▼14 13 不出場
'97-'98 16 66 ▼50 15 不出場 42 40 △2 9 不出場
'96-'97 30 52 ▼22 12 不出場 44 38 △6 8 1回戦      0   3
'95-'96 21 61 ▼40 14 不出場 39 43 ▼4 10 不出場
'94-'95 ―― ――― 21 61 ▼40 14 不出場
※「順位」は東地区内での勝利数の順位 。

'95年創設のラプターズは若手中心に切り替えて躍進。

 ラプターズは'95年創設の新興チームだ。今季が19シーズン目。過去18シーズンでプレーオフに進出したのは5回だけだった。創設からの3シーズンは東地区15チーム中、14位、12位、15位。その後、'00-'01年に貯金12で5位になり、プレーオフも1回戦を突破、準決勝でアレン・アイバーソンのいた76ersに3勝4敗で敗れたのが、チーム史上の最高成績となっている。その後は再び低迷して、昨季は借金14での東地区10位だった。そこから、今季は貯金14での3位へと躍進したのだ。

 オフに有力な補強をしたのかというと、そうではなかった。むしろ逆で、今季は開幕から約1カ月後、勝敗が7勝12敗になると、昨年12月9日、チーム最高年俸(約17億8900万円)の中心選手、ルディ・ゲイと、チーム最長身213cmのアーロン・グレイをトレードで放出する大改革を行った。その結果、チームの中心になったのは24歳のデマー・デローザンと、当時まだ21歳だったリトアニア出身のセンター、211cmのヨナス・バランチュナス。この主力交代が功を奏した。この日以降、41勝22敗と大躍進したのである。

 ラプターズのチーム成績を見ると、3点シュートの成功数(713本)が東地区3位、フリースローの成功率(78.2%)が同1位。高さのないチームが勝つために必要な、この二つの部門で好成績を残している。今季年俸1000万ドル(約10億円)以上の選手はゼロ。プレーオフ1回戦は1000万ドル以上が5人いるネッツとの対戦だった。最終的には敗れたものの3勝4敗、第7戦は1点差での敗戦という激闘で、存在感を示した。

【次ページ】 司令塔ウォールが全試合出場を果たしたウィザーズ。

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トロント・ラプターズ
ワシントン・ウィザーズ

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