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日本ハム・斎藤佑樹を使うのは「今」!
過剰な期待でも、不信感でもなく。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/04/22 16:30

日本ハム・斎藤佑樹を使うのは「今」!過剰な期待でも、不信感でもなく。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

今季はオープン戦から145kmを計測するなど、明らかに昨年までとはボールが変わった斎藤佑樹。二軍からの復活を見せることができるか。

過剰な「期待」をかけた昨年とは対照的な今年の処遇。

 調子はいいだけに、斎藤にとって中10日はきついブランクになったはずだ。

 そういった状況も考え合わせると、楽天戦で立ち上がりに制球が定まらなかったのも同情の余地はある。

 しかも、驚きは早々の降板劇だけでは終わらなかった。翌日、斎藤は一軍登録を抹消された。光山ではないが「きっびしい」と感じた。

 一昨年、栗山はオープン戦で結果の出ていなかった斎藤を「追い込んだ方が力を発揮するタイプ」と開幕投手に大抜擢した。昨年終盤は、故障明けでまだ本調子とはほど遠い斎藤をわざわざ一軍に上げ、登板機会を与えた。

 もちろん、今回の一連の処置も栗山の斎藤に対する期待の裏返しなのかもしれないが、昨年までの過剰とも思える「期待」と比べると、あまりにも対照的だ。

ようやく高校時代の斎藤を超えつつある。

 じつは、大学時代もそうだった。斎藤は入学直後、1年生ながらいきなり開幕戦の先発を任されるなど、最初から最後までエースの待遇を受けた。にもかかわらず、1、2点を失っただけで中盤に代えられてしまうことが度々あった。ここを乗り越えたら、また違った斎藤が見られるのではないか。そう思ったところで、ことごとく交代させられてしまう采配は、監督は本質的なところでは斎藤を信頼していないのではないかと疑わずにはいられなかった。そうした扱いについて、和泉は冒頭のように語っていたのだ。

 今の斎藤も同じにように映る。10日の試合も多少荒れていたとはいえ、まだ2失点で、しかも2回である。先発投手で、ましてや開幕2戦目を任された投手なのだから、十分許容範囲だろう。いやむしろ、今の斎藤が本物かどうかを見極めるためにも、あそこからどう立て直すのかを見たかった。

 昨シーズン、右肩を故障した斎藤は、野球生命を絶たれるかどうかというギリギリの精神状態の中で、何とか持ちこたえた。そして、投げられるようになっただけでなく、ようやく高校時代の斎藤を超えつつある。そんなときに、よもやの降板、そして二軍落ちを味わった。さすがに気持ちが切れるのではないかと思ったが、そんなことはなかった。18日のイースタンリーグの楽天戦でも、改めて斎藤は変わったと思わせた。

【次ページ】 斎藤を使うなら「今」しかない。

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