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韓国の15歳の入団でバルサに重罰!
補強禁止騒動、それぞれの思惑とは。 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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posted2014/04/10 10:30

韓国の15歳の入団でバルサに重罰!補強禁止騒動、それぞれの思惑とは。<Number Web> photograph by Getty Images

バルセロナが誇るカンテラの最高傑作は、いわずと知れたメッシ。小さい頃からバルサの哲学を身に着けたからこそ今の活躍があるとも言えるはずだが……。

 毎年のタイトル獲得を義務づけられているチームにとって、1シーズンの補強禁止は酷な罰である。それをバルサは、罰金45万スイスフラン(約5200万円)と共に、FIFAに言い渡された。FIFAのルールに反する行為がカンテラにあったからだ。

 FIFAは'09年に発効した移籍規定第19条で18歳未満の国際移籍を全面的に禁じているが、次の例外を認めているため、いまも多くのクラブの育成部門で多くの外国人選手がプレイしている。

・当該選手の両親が加入先となるクラブのある国へサッカーとは関係のない理由で転居するとき。
・当該選手が16歳以上18歳未満かつ移籍がEU内あるいはEEA(欧州経済領域)内で行われるとき。
・当該選手の住居が国境から50㎞以内にあり、加入先となるクラブも同じ国境から50㎞以内にあるとき。

 しかし'13年2月、当時14歳の韓国人イ・スンウに関する匿名の通報を受けたFIFAがバルサの協力を得て彼の入団状況を調べたところ、イのケースはこれらのどれにも当てはまらないことが判明した。

「未成年の保護」と「移籍制限」の間で。

 早速彼の選手資格停止をバルサに告げたFIFAはその後、他の韓国人2人、フランス人1人、カメルーン人1人、ナイジェリア系オランダ人1人をも資格停止とし、スペインサッカー協会にも情報提供を求めて調査を続行。最終的に前述の6人を含む10人の移籍に違反があったと判断して、昨年11月28日、バルサにペナルティを科すことを決めた。

 それが「連続する2度の登録期間――'14年4月に通告したので'14年夏と'15年1月――における選手獲得の禁止」である。

 くだんの第19条は南米やアフリカの少年が怪しい大人に搾取されることを防ぐために制定されたとされる重要なルールであり、一般的に歓迎されている。国際プロサッカー選手協会(FIFPro)も「未成年の保護は優先事項」と考えており、バルサのバルトメウ会長自身、FIFAの通告を受けて開いた記者会見の場で「未成年の移籍制限には全くの賛成」と語っている。

【次ページ】 もとより、バルサは確信犯だった。

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