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「2020年の昇格」と「ベテラン補強」。
FC岐阜がラモスと進める“長期計画”。 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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posted2014/03/28 16:30

「2020年の昇格」と「ベテラン補強」。FC岐阜がラモスと進める“長期計画”。<Number Web> photograph by Getty Images

岐阜に巻き起こるサッカー熱の中心にいる、ラモス瑠偉監督。2020年のJ1昇格へ、どんな種をまき、どんな策を講じているのだろうか。

 3月22日のJ2第4節、ホームのFC岐阜が首位の湘南ベルマーレに2-3で敗れた試合後の監督会見は、しょっぱなから“ラモス節”が全開だった。

「質問ない? よーし、帰ろう。みんなも帰りたいやろ(笑)」

 慌てて手を挙げる地元記者。そこから約20分にも渡った会見は、質疑応答の形をもちろん取ってはいたが、さながら“独演会”のようだった。

「湘南はいいサッカーをしてるし、監督も素晴らしい。でも、湘南をこんなに走らせたの、うちだけじゃないかな」

「彼(水野泰輔)は素晴らしい選手ですよ。でも、経験が足りない。ボランチなのに走り過ぎ。もうちょっと頭使え。サボれるときはサボれ」

「相手が100パーセントで走っているのに、私たちが70パーセントでは無理。フェラーリに自転車で勝負しようとするのは無理」

「疲れてるならシンプルにやればいいのに、狭いところでドリブルしようとする。アホ過ぎる。ダメ。あれファウルになって退場して、1-5になって監督クビ。なんでやねん」

 熱を帯びてくると早口になり、まくしたてたかと思えば、今度は語りかけるようにゆっくり話す。ところどころで笑いを誘うあたりもさすがで、最後は「少しずつ強くなっていきますから」と誓って、会見を締めくくった。

定位置だった最下位争いから脱出すべく大型補強を。

 岐阜といえば、'11年は20位(20チーム)、'12年21位(22チーム)、'13年も21位(22チーム)というように、近年は最下位争いが定位置になっていた。そんな彼らが今オフ、大変貌を遂げた。

 ラモス瑠偉氏を監督に招へいし、元日本代表の川口能活(38歳)、三都主アレサンドロ(36歳)を補強。さらに、J1、J2でのプレー経験が豊富な宮沢正史(35歳)、高地系治(33歳)、太田圭輔(32歳)、難波宏明(31歳)、深谷友基(31歳)らベテラン選手たちも次々と獲得した。

 県民、市民の関心とメディアの注目は一気に増し、ホームで迎えたカマタマーレ讃岐との開幕戦では、クラブ史上3番目に多い1万1069人の観客が集まった。

 2節のカターレ富山戦は7879人、この湘南戦は7222人と、少し落ち着いてきているが、それでも1試合平均の観客数がJ2に昇格した'08年から一度も5000人に届いていないことを考えれば、夢のような数字だ。

 練習初日には300人近くのサポーターが訪れ、普段でも何十人もの人たちが見学に来ているという。地元のライターの話では、これまでは取材者ひとり、サポーター3人という日もざらにあったというから、広報の方は対応するのに大わらわに違いない。

【次ページ】 ベテランがチームにもたらす「プロフェッショナリズム」。

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