Jをめぐる冒険BACK NUMBER
Jの劇的な試合日程は、こう作られる。
ドラマを生む「新・日程くん」に迫る!
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO SPORT
posted2014/02/06 11:00
広島の2連覇をさらに劇的なものにした1つの要因に、最終節が上位6チーム同士の対戦となった日程にあったことは間違いない。
サンフレッチェ広島の逆転優勝で幕を閉じた2013年のJ1リーグ。このドラマチックなエンディングにひと役買ったのが、絶妙な試合日程だった。
最終節の対戦カードは、横浜F・マリノス(首位)vs.川崎フロンターレ(5位)、広島(2位)vs.鹿島アントラーズ(3位)、浦和レッズ(4位)vs.セレッソ大阪(6位)。優勝とアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場を争う上位6チームの直接対決となっていた。
カシマスタジアムで広島の選手たちが歓喜に沸いている頃、等々力陸上競技場では横浜FMの優勝を阻んだ川崎が3位に浮上。これまた逆転でACL出場権を獲得し、喜びを爆発させていた。
この神がかり的なマッチスケジュールを組んだのは、「Jリーグマッチスケジューラー」、通称「日程くん」と呼ばれる専用コンピューターソフトだ。
'03年までは手作業によって日程が作成されていたが、より公平性を増し、ミスをなくすために、'04年に導入された。
「日程くん」が生んだ神がかりカードの歴史。
この「日程くん」が神がかっていたのは、昨シーズンにとどまらない。これまでも、まるで未来を予言したかのような日程を作成している。例えば、こんな具合だ。
'06年の最終節は、首位・浦和と2位・ガンバ大阪による直接対決となり、'07年の最終節は、昇格組で最下位の横浜FCと前年王者で首位の浦和が対戦し、横浜FCが勝利。鹿島が逆転優勝を飾った。
'12年の最終節は、5位・浦和と6位・名古屋グランパス、7位・横浜FMと3位・サガン鳥栖というように、ACLの出場権を争うチーム同士の対戦になり、浦和が3位になった。
さらに、'12年と'13年は2年続けてナビスコカップ決勝直前のリーグ戦が決勝と同じカードで(清水エスパルスvs.鹿島、浦和vs.柏レイソル)、その前哨戦に敗れたチームがいずれも決勝でリベンジを果たしている。
もちろん、単なる偶然に過ぎないが、ここまで来ると、神秘性が増すというもの。そこで「日程くん」の全貌を探るべく、Jリーグを訪ねてみることにした。