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日本人がドイツ代表の分析チームに?
『チーム・ケルン』と大学生の物語。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byYuki Hamano

posted2014/01/31 16:30

日本人がドイツ代表の分析チームに?『チーム・ケルン』と大学生の物語。<Number Web> photograph by Yuki Hamano

ドイツ代表の分析チーム『チーム・ケルン』の一員の浜野裕樹。ケルンのサッカークラブでコーチもしているという。

「セミナーに参加したら『今日からドイツ代表のために 分析を 始めるぞ!』って。『何これ? そんなすごいところに 来ちゃったの!』って意味がわからなかったです」

浜野裕樹(『チーム・ケルン』学生分析チーム)

 留学先のケルン体育大学で、セミナーに何気なく参加したら、いつの間にかドイツ代表の分析チームの一員になっていた――。ブラジルW杯が迫った今、そんな不思議な体験をしているのが、浜野裕樹(25歳)だ。ドイツ代表をサポートする分析集団『チーム・ケルン』のひとりとして、日夜代表チームのための分析に力を注いでいる。

 すべての始まりは、日本体育大学の4年生のとき、ケルン体育大学への交換留学生に選ばれたことだった。浜野は大学サッカー部はすぐに辞めてしまったが、高校までサッカーに打ち込んでおり、指導者になることに興味があった。そこで学内の勉強を頑張り、留学の権利を勝ち取る。そしてケルンで1年間過ごしたことでさらに興味が高まり、日体大を卒業後、正式にケルン体育大学に入学した。

運命の出会いは、必修科目の授業で訪れた。

 浜野はこう振り返る。

「大学院に進むことも考えたんですが、外国人局の方に『ビザを考えると、大学から入った方が長くドイツにいられるよ』とアドバイスされたんです。そこでもう一度、学部から始めることにしました」

 運命の出会いは、必修科目の「パソコン」の授業で訪れた。

 その授業はワードやエクセルの使い方を学ぶというスポーツとはまったく関係ないものだったが、なぜか講師はドイツサッカー協会のエリート分析官、シュテファン・ノップだった(学生分析集団『チーム・ケルン』を統括する責任者。詳しくはNumber 840号の記事『レーブを支えるケルン体育大学の分析力』を参照)。

【次ページ】 1回限りのはずのセミナーが『チーム・ケルン』への第一歩。

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