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<展望箱根駅伝2011> 早稲田3冠か、東洋3連覇か。~各校監督が語るそれぞれの戦略~ 

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

PROFILE

photograph byJun Tsukida/AFLO

posted2010/12/28 06:00

(左)学生長距離界の顔となった柏原竜二だが、今季は無冠/(右)全日本大学駅伝2区で好走する黄金ルーキーの大迫傑

(左)学生長距離界の顔となった柏原竜二だが、今季は無冠/(右)全日本大学駅伝2区で好走する黄金ルーキーの大迫傑

大学駅伝3冠を狙う臙脂のWと、箱根3連覇を目指す鉄紺のTU。
新春の箱根路では早稲田と東洋、戦力が充実した両雄が激突する。
将来性豊かな駒澤が隙を窺うなど、高次元の展開が期待されるレースを、
各校の監督が描く戦略から読み解く。

 12月10日。この日は箱根駅伝にとって重要な一日だ。各大学が16人の選手をエントリーし、恵比寿ガーデンプレイスで記者発表、懇談会、そして一般のファンに向けた監督たちによるトークバトルと、時が刻まれていく。

 懇談会ではアルコールもふるまわれ、監督、役員、スポンサー、メディアの人間が談笑し、そして密談する。会場にはいくつか輪ができるが、その真ん中にいるのは実力上位校の監督たち。その中でもいちばん大きな輪を作ったのは、早稲田の監督、渡辺康幸だった。

 今季、スピードが要求される出雲、箱根の前哨戦となる全日本で優勝し、「駅伝3冠」を狙う早稲田が久しぶりに箱根の主役になるのでは、と見られている。これまで3冠の達成校は'91年の大東大、'01年の順天堂大と10年置きに誕生しており、早稲田は史上3校目の偉業に挑戦する。

 渡辺は去年よりだいぶ体が絞れた印象だ。監督、痩せたでしょう? と質問する。

「去年より10kg落としました。学生に自分が何かに真剣に取り組んでいるところを伝えたかったんです。で、僕も走ろうと。これまでは走りだすと体重のせいでケガをして続けられなかったんですが、今回はあらかじめ水泳と食事で5kg落としてから走り始めました」

残り1カ月を切ってからの準備がもっとも重要な箱根駅伝。

 所沢キャンパスに出向くと、練習後に選手と走る渡辺の姿が見られる。出雲、全日本での勝利は監督として初の勲章。それが指導者としての自信になったのは疑いようがない。しかし胴上げは封印した。

所沢キャンパスで追い込み練習をする早稲田。渡辺は起用区間や体調を鑑みメニューを組む。集団走では矢澤ら上級生が檄を飛ばす場面も

「今年は新チームがスタートした時から『3冠』を目指してやって来てますから、箱根を勝たなければ胴上げはしてもらえません。ここまできたら早稲田の伝統、知識、ノウハウを総動員してグランドスラムを達成したい」

 陣容は整っているが、12月中の調整は慎重にならざるを得ない。残り1カ月を切ってからの準備が箱根の雌雄を決するからだ。

「実は前回、エントリーが終わってからインフルエンザやケガ人が出てガタガタと崩れてしまった。昨年の練習を振り返ると別メニューの選手が多いんです。それでも最終的には辻褄を合せて『走ってくれるだろう』と思って送り出したんですが、失敗しました。自分の予想は、指導者の願望にしか過ぎなかった。だから今年は経験者よりも、きっちり練習を積んだ調子のいい選手を優先させます」

<次ページへ続く>

【次ページ】 要となるのは「5区で柏原にどう対処するか?」。

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