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<敏腕代理人インタビュー> トーマス・クロート 「私が日本人をドイツに送り込める理由」 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTsutomu Kishimoto

posted2010/12/21 06:00

<敏腕代理人インタビュー> トーマス・クロート 「私が日本人をドイツに送り込める理由」<Number Web> photograph by Tsutomu Kishimoto

長谷部にクロートの評判について尋ねると……。

「僕がユースチームでプレーしている頃からトーマスは試合に足を運んでくれていたんだ。それがきっかけで、お互いに信頼し合えるような関係が始まったってわけさ」

 インタビュー中は目を細め笑顔で語っていることが多いクロートが、表情を変え、力をこめてこんなことを語った。

「私は選手と一緒に最低でも10年は働くことをモットーとしている。選手がユースチームからプロの選手になり、最初の契約、次の契約、そして代表の選手に選ばれるまでの過程を一緒に過ごす。プロとしてのキャリアの初めから引退するまで。そして選手としてのキャリアを終えた後にどうするかについても話し合い、手助けをしたいと思っているんだ」

 ベテランのニコロフと将来有望なノイアー――2人のGKはクロートの理想を象徴する存在なのだ。

 長谷部にクロートのリーグでの評判について尋ねると、こんなことを教えてくれた。

「評価は高いと思うよ。やっぱり、“あの”ノイアーの代理人だってことはみんな知っているし。シェーファー(ヴォルフスブルクの左SB)みたいに、最近になってドイツ代表に入ってきている選手もいるわけだから。そういう意味では、これからさらに大きくなる代理人と思われているんじゃないかな」

高原が良いイメージを残し、長谷部がそれをさらに向上させた。

 選手としての経験を持ち、選手からの信頼も厚く、クラブに高く評価される存在。そんなクロートの手腕による部分が大きいにせよ、近年ブンデスリーガでプレーする日本人選手が増えている理由は他にもあるという。

「まずは高原の存在がある。彼にとっては良い時期もあったし、苦労した時期もあった。でも彼は良い選手だということを証明した」

 確かに、高原の存在は大きい。フランクフルトの試合に行けば、いまだに高原の背番号と名前が入ったユニフォームを着ているファンの姿を見かけるほどだ。

「高原のあとに稲本と小野という2人の選手が来た。そして、何と言っても長谷部の存在だね。彼は本当に良い選手だし、ブンデスリーガのタイトルを取った(奥寺康彦に続く)2番目の日本人選手だ。高原が良いイメージを残したとすれば、長谷部がそれをさらに向上させた。また、先日のW杯で日本代表がベスト16にまで進出したということも、日本人選手のイメージアップに一役買っている」

 しかし、なぜクロートはここまで日本人選手の移籍に肩入れをするのだろうか。

【次ページ】 「日本人の選手はプロフェッショナルなんだよ」

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