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763号 掲載記事

<敏腕代理人インタビュー> トーマス・クロート 「私が日本人をドイツに送り込める理由」

日本のサッカー史上、かつてこんなことがあっただろうか。
ひと夏で日本からブンデスリーガに4選手が移籍。在籍選手は
2部も含め6人。その答えを知るのはこの人物しかいない。
そのすべてに関わった代理人が、彼らの移籍の全貌について語った。

 最近、ブンデスリーガの映像や記事を目にすることが増えてはいないだろうか。テレビのニュースに雑誌の表紙、そしてCMにまで……。それもそのはず、今季から新たに香川真司、内田篤人、矢野貴章の3人の日本人選手が加わり、1部に所属する日本人選手は長谷部誠を入れて4人。これはヨーロッパのどのリーグよりも多い。こんなにも多くの日本人選手が立て続けにドイツにやってくることが出来たのは何故なのだろうか。

 その疑問を解く鍵となるのが、'02年の高原直泰以降、殆どの日本人選手(現在1部に所属する選手に加え、過去の稲本潤一、小野伸二、大久保嘉人)の移籍、ブンデスリーガ2部でプレーするチョン・テセや相馬崇人の移籍に携わった、ドイツ人代理人、トーマス・クロートである。

 今も昔も日本から欧州のチームへの移籍のハードルは非常に高く、ドイツも例外ではない。クロートもその実情についてこう語る。

「日本から“直接”売り込むことは難しいだろう。アジアはあまりに遠い。ドイツのクラブが外国人選手を探す時、まずはポーランドとかクロアチアとか近郊の国を見て、ヨーロッパの選手を探す。次に、ブラジルやアルゼンチンが来る。最初の選択肢として日本人を選ぶことにはならないだろうね」

「100%成功する確信がある場合に、私はクラブに紹介する」

 実はドイツでプレーする日本人選手が増えている理由の一つが、“直接”の売り込みではなく、クロートを通すことにある。

ドルトムントでゴールラッシュを続ける香川

 同じ国の代理人から選手を勧められる場合と、あまり知らない国の代理人から選手を勧められる場合では、クラブはどちらの話に耳を傾けるだろうか。

 現在、ドイツの1部と2部でプレーする日本人選手の多くが、日本でも代理人と契約を結んでいる。にもかかわらず、クロートもドイツ側の代理人として日本人選手の移籍に関わっているのはそういった理由があるのだ(ただ、香川真司や相馬崇人のように、クロートしか代理人がいない選手もいる)。

 もっとも、ドイツ側の代理人に力がなければ、そんなシステムも絵にかいた餅に過ぎない。ドイツのクラブから信頼されているクロートが選手を紹介するからこそ、クラブ側がしっかりと耳を傾けてくれるのだ。

「私がクラブに紹介する選手は、そのクラブを助けることの出来る選手だ。その選手が100%成功する確信がある場合に、私はクラブに紹介する。だからこそ各クラブの信用を得られるんだ。『トーマスの選手だから』ということで信用してくれているんだ」

<次ページへ続く>

【次ページ】 プレー経験が代理人としての仕事にもたらすメリット。

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