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松井秀喜とラミレスの言葉で考える、
55本塁打と、敬遠と、“日本人”。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/08/28 12:45

松井秀喜とラミレスの言葉で考える、55本塁打と、敬遠と、“日本人”。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

 プロ野球を観ていて、やむをえないと諦めつつも、どこか割り切れなさが残るのがタイトル争いにまつわる敬遠や不出場だ。そして今、ヤクルトのバレンティンが超えるかどうか注目を集めている「55本の壁」――。

 シーズン開幕前、DeNAのラミレスに2時間ほどインタビューしたときのことだ。日本の野球が心底好きだというラミレスに、あえて否定的なことを言わせたくなり「タイトル争いのときに敬遠したりすることについてどう思うか」と尋ねた。

 ところがラミレスは実に冷静というか、ある意味、達観していた。

「外国人として受け入れがたいことは『ショウガナイ』って思うことが大事。ジャパニーズスタイルは理解しているよ」

「自分が監督でも敬遠していたんじゃないかな」

 ラミレスは巨人時代、2008年に横浜(球団名は当時。以下同)の村田修一とホームラン王争いをしているとき、横浜戦で4度敬遠されたことがある。

「自分が監督でも同じことをしていたんじゃないかな。ショウガナイ。チームにタイトル争いのトップに立つ選手がいたら、その選手を守るのは監督の重要な仕事。自分も首位打者争いをしているときに(打率を下げないために)試合に出なかったことがある。たとえ、それを他人に批判されても自分はまったく気にならない。そういうことをしたくなかったら、選手はぶっちぎりの成績を残せばいいだけのこと」

 さらに王貞治の年間最多本塁打記録55本にまつわる過去の敬遠騒動についても聞いた。これまで'85年のランディ・バース(阪神)が54本で、'01年のタフィ・ローズ(近鉄)と'02年のアレックス・カブレラ(西武)が55本で、それぞれ1試合ずつだが四球攻めという洗礼を浴びている。

 バースは巨人に、ローズとカブレラはダイエー(現ソフトバンク)に勝負を避けられた。監督はいずれも王だったが、王の指示ではなく周囲の配慮だったようだ。

 ラミレスは「外国人で55本を破る人は出てこないのでは」と語っていた。

「王さんはやっぱりキング。キングであり続けて欲しいというのは日本人の総意だから。僕が監督でも相手が日本人だったらどんどん投げさせるけど、外国人だったら歩かせるかも。ショウガナイ。ショウガナイネ」

 もっとも違和感を覚えているはずの外国人であるラミレスが言うのだから、やはり本当に「ショウガナイ」のではないかと思った。

【次ページ】 もうひとり、「しょうがない」と語っていた日本人選手。

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