四球に好走塁……第2戦で見せた「勝つ」ための野球。

「フォーク、カーブと来たところでスライダーを狙ったけどストレートだった。でも、あのシチュエーションではランナーを還すバッティングしか考えていなかったから、スイングもいい反応ができたと思う」

　開幕戦4－3の勝利には中畑監督も、会心の笑みを浮かべ、言葉も弾む。

「こういう形で先制、勝ち越しして勝利できると勢いがつくよね。活躍してほしい選手が打つのは何よりも嬉しいことです！」

　4－2で勝利した第2戦では、細かい野球も見せた。

　両軍無得点で迎えた3回、今季は7番に座る荒波翔が先頭打者として四球を選び、すかさず盗塁を決める。その後、四球とバントで1死二、三塁とチャンスを広げると、石川のセカンドゴロで三塁ランナー・荒波が好スタートをきりホームを陥れ先制。さらに、内村、ラミレスのタイムリーでこの回4点を奪い試合を決めた。

　そして、第3戦では3－8と敗れはしたものの、8回にブランコの2ランで意地を見せた。

　モーガン、ブランコ、ラミレスと外国人が並ぶクリーンナップは豪快だが、その一方で大味な印象も与えてしまうかもしれない。

　しかし、開幕3連戦のDeNA打線を見てもわかるように、選手たちは1点を確実に取る野球を理解し、ゲーム展開に応じたチーム打撃を徹底することができている。

　今季の新生DeNA打線は侮れない。

　彼らは、たった3試合で、それをはっきりと他球団に印象付けたと言っていいだろう。

開幕投手は安定していた三浦大輔ではなく、藤井秀悟だった。

　勝利への執念は、投手陣においても同じだ。

　オープン戦で、開幕投手候補の高崎健太郎が負傷。さらに、加賀美希昇、国吉佑樹が不振で二軍落ちするなど、先発ローテーションの軸とされる投手が相次いで離脱した。

　そんななか、エース・三浦大輔は安定した成績を残していた。

　昨年までのDeNAであれば、開幕投手には直近の結果や状態、実績などを考慮こそするものの、最終的にはエース級の選手に大役を任せていたはず。三浦本人も、「マウンドに上がらないと分からないけど、準備はできていますよ」と言うほど良好なコンディションを保っていた。

　ところが、チームが白羽の矢を立てたのは藤井秀悟だった。

　この判断は確かに正しかったのである。

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