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ヤクルトの“若手育成路線”は、
プロ野球人気復活の起爆剤となる!! 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/01/10 10:31

ヤクルトの“若手育成路線”は、プロ野球人気復活の起爆剤となる!!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

2008年ドラフト3位で福井商から入団した中村悠平。2軍で着実に実績を積み重ね、昨シーズンから1軍に定着。22歳とまだ若手だが安定した活躍を見せた。

 プロ野球のチーム作りは育成に重きを置いた「パ・リーグ型」が主流になりつつあり、セ・リーグでそれを実践しているのはヤクルト、という話をしたい。その前にパ・リーグ各球団がそこへ行き着くまでの苦難の道をかいつまんで話す。

 プロ野球のチーム作りは1993年オフのFA(フリーエージェント)制度導入によって一変した。

 FA制度の前なら、若い選手が颯爽と登場してショートのレギュラーポジションを取ったら「向う10年間はショートの心配をしなくていい」と言われていた。ところがFA制度のおかげで、現在では同チームで最短7年を経れば選手は希望する球団へ移籍することが可能になった。つまり、中心選手が守るポジションほど次のレギュラー候補を準備しなければいけなくなってしまったのである。

 またFA制度によって各球団の主力選手の多くがセ・リーグに集まるようになり、'94~'03年までの10年間、日本シリーズではセが7勝3敗とパを圧倒した。元々セに偏っていた人気もまだ改善される様子が見えなかった。知り合いの巨人ファンなどは、FAによりセ・リーグへ有名選手の流入が相次いだことで「パ・リーグってセ・リーグのファームなの?」と真面目な顔をして言ったほどだ。

球界の旧態依然の体質が引き越した'00年代の再編問題。

 '01年にパ・リーグは観客動員数が初めて年間1000万人を超えたじゃないか(1012万4000人/1試合平均2万4105人)と言う人がいるかもしれないが、当時は観客が1000人しかいなくても球団が5000人と言えばそのようにカウントされていた時代なので判断が難しい。

 たとえば巨人戦を例にとると、'01年の観客動員数は376万1500人で、1試合平均5万3736人と発表されているが、実数発表が義務付けられている日本シリーズの1試合最高観客数は'94年10月23日に行なわれた西武戦の4万6342人である(いずれも東京ドームでの記録)。セ・リーグの人気球団・巨人でさえこういう発表をしていたという点で、当時のプロ野球のファンに対する誠意のなさが垣間見れる。とくにパ・リーグが発表する観客動員数はこの度合いがひどかったように記憶している。

 '04年の球界再編問題は巨人が唱えた“1リーグ制への移行”に対して選手会が反発し、それをファンが支持して大騒動に発展したが、原因はそれだけでない。FA制度や逆指名ドラフト導入によって顕著になった戦力の不均衡や、ファンの思いが伝わらない野球組織全体の硬直した体制に対する怒りの表明でもあったのである。

【次ページ】 育成路線に舵を切ったパ球団は人気、実力とも上向きに。

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